私は、想像する事しか出来ない。
私が誰の事も理解する事が出来ないなら、 それは、誰も私を理解出来ないという事と同じだ。
そう。
人は人である限り、自分以外の他人の事は、想像する事しか出来ない。 だけど、だから。なのに。
私はあの人の事を、何も知らない。考えても考えても、理解は出来ない。 それは、どれだけ近くまで行っても、彼をどれだけ「知る」としても、 側にいて触れたとしても、そこで何かが伝わっても、彼が私で無い限り 理解する事は無い。…それどころか、近付けば近付く程、触れれば触れる程、 貴方を知れば知る程、私は貴方が私とは全く違う存在だと知るのでしょう。 決して、そこに「触れる」事は無いと知るでしょう。
だけど、だから。余計に、
私の想像する世界に、私の抱くこの世界にあの人が居るだけで、 こんなに魂が揺さぶられてしまう。制止しない。
彼が私で無いからこそ。…ただ、「知りたい」という欲求だけが、 私に何もかもを想像させる。それ故に。…私は、貴方を想像する。
それが私に出来る事の最大限。ただ、貴方の事を想う。それしか、出来ない。
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