…昨日、本を読んだ。ある種の昆虫は、芋虫の頃、その体のほとんどは胃袋なんだそうだ。そして、変身し、飛ぶための羽を手に入れると同時に、生きるための消化器は消失し、生殖機能のみの生物に変化するのだ。性と、その先にあるのは死。…それは、なんていう恍惚。それを知った私は、夢の中で、何度も何度も蝶々の羽を、食い千切る。唇が、鱗粉でぎらつく。そのうちに、眼に鱗が生えたようになって、眼球は夜の海に泳いで行ってしまって。…残るのは、盲目の私と、蝶の死骸。