あの人に触れた瞬間から、自制が出来ない。 ただ、ただ、あの人の瞳からこぼれるものが、胸が詰まり、胸に募り。
単なる好奇心と、自分に言うのは簡単だけれど。あの、麻薬のような 味が忘れられずに、未だに私を拘束している。
ナイフが胸に刺さる。愛も恋も欲望も、全てその刃を抜いた瞬間から 溢れ出す。汚れた血と、鮮血と、何もかもを一緒に吐き出しながら。
自らに嘘を付けなくなった時、私は壊れて行くだろう。 関わる人を傷つけ、あの人には迷惑をかけるだろう。
あの人を思うだけで、細いナイフが胸に刺さる。 私は自らの嘘で、ナイフが抜けないように願う。
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