JERRY BEANS!!

2003年12月07日(日) 消えない痛み

父が亡くなって、かれこれもう6年ほど経つだろうか。

ようやく「父が亡くなった」という言葉も口に出して言えるように
なってきたように、段々と居ない事実が日常に溶けてきたように思う。

人が死ぬということ。

二度と目覚めないということ。

もう、一度と無く、その人が私になにか語りかけたり、
優しく触れてくる事がないという、それだけの事実。


最初の数年は、それでもまだ、突然ひょっこりと現れて、この日常に
戻ってきてもおかしくないと思った。そしていつもそれを期待して、
この現実が全て嘘である事を願った。空虚なままで。だけど、だんだん年をとり、
人も周りも自分も変化する中で、いつの間にか居ない事が日常になって
来ていた。不在が不在でなくなって行く。


それでも、私は時々こうして、自分の中のあの痛みを、決して忘れないように
する。…自分の胸をえぐり切ってでも、あのとき思った胸の辛さややるせなさが
私の中から消えないようにする。

人が本当に消えてしまい、全ての世界から死んでしまうのは、その人と関わる
人すらも、全て息絶えた時だろうと思う。だから、私は自分の中の
あの人を、決して消さないようにする。私の中に融けている、今は居ない
あの人の全てが、いつまでも生き続けるように。


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nana [HOMEPAGE]

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