先日、兄が帰省してきた。
普段私が女ばかりの家で生活しているからか、 久しぶりに見る兄はとても雄雄しい。
ひとつしか年が変わらないから、本当に小さな頃からずっと一緒に 育ったきた。体操もピアノも水泳も、習い事は全て兄の真似から 始めて、いつも彼のペースをくずして嫌がられたけど。小川でずぶぬれ になるのも、ブナの林で探検するのも、近所のイチジクを狩りに行く のも一緒だったけ。
妹ができるまで、いつも二人でお互いを鏡に映すように見ながら 大きくなってきたから、性格は全然ちがっていても私は平気だった。
彼の存在は、私の「そうなることは絶対にない別の姿」だ。 私はずっと、お兄ちゃんみたいな男の子になりたかったのに。
だんだん年をとって、兄に父の面影がちらつくようになってから、 少しだけ私の中の少年の憧れが変わってきたような気がする。 気付けばもうとっくに「少年」ではなくなっている、永遠のお兄ちゃんが、 少しだけ他人に近付いていくような気がした。
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