JERRY BEANS!!

2002年09月08日(日) プラチナの指輪

先日、知り合いの男の人の車で家まで送ってもらった。
帰る方向が同じなので、時々乗せてもらう人だ。
彼の車では、奥さんに「帰るコール」する間は声を出さないでね、と
言われている。奥さんに余計な心配をかけないように、との配慮らしい。

私は彼を、とても、やさしい人だと思う。

先日そうして久しぶりに送ってもらうとき、彼は奥さんにいつも通りに
電話をした。けど、いつもとちょっと違って、奥さんは何か泣いている
みたいだった。

彼のほうだけの片一方の話を聞いていると、どうやら奥さん、結婚指輪を
なくしてしまって、泣きながら探していて、それでも無くって、困って
いるらしい。彼は「また新しいのを買ってあげるからぁ〜。仕方がないでしょ」
と言って奥さんをなだめていた。

たったひとつのプラチナの指輪。それが無くなったくらいで一体何が消えて
しまうというんだろう。私も以前付き合っていた人からネックレスをもらった
時、同じように首からぶら下げていい気になってた。まるで「売約済み」って
札が貼られた商品みたいだと思ったけど、それで彼が喜ぶならと思った。

本当なら、どうでも良い事。だけど、私も同じようにやはり「それ」を
無くしてしまったら、なんだかぽっかり小さく穴が開いたような気がした。

今の恋人は、そういう贈り物をしてこないから、とても好き。

物はいつか、消える。だからといって必死になって、普段からそんな小さな物
を気にかけなきゃならないのも、何か違ってる。

もう居ない人からの贈り物は、ただそれだけ、それしか残っていない確かな
「証」だから涙も出るし、気も使うけれど、いつも傍にいてくれる人からの
贈り物など、たとえプラチナの指輪でも、それだけでは心の隙間を埋める事
すら出来ないというのに。隙間を埋めるのは単なる「錯覚」。そうではなくて、
もっと確かな、この手に触れる恋人の肌のほうが、私には大切だと思う。

冷たいプラチナなどではなくて。


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nana [HOMEPAGE]

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