乙女の夢は儚いものです。 男の子とは違って、女には時間がある。
だんだんと年を取る毎に、許される時間がなくなる切迫感がある。
私はそれが嫌で、女で居る事が嫌いな時期があった。
最初は、私の体が子供で居られなくなった時。 胸に物があたる度に、痛みが走ったあの時期。 私は自分の体の時間が止まればよいと思った。そうしなければ 「私」が消えてしまうような気がしたから。
でも、痛みがなくなり、胸が今のサイズになる頃には、諦めがついた。
「子供」ではいられないんだと思って泣いた。
私が一番好きだったのは、子供だった頃の思い出。
好き放題に木に登って、暑い夏は川に足を浸して、田んぼ脇の用水路で 魚を釣って、草をすりつぶしたものを体に塗りたくって遊んだあの頃が、 私が一番好きだった時間。私が一番好きな「私」の形。
女になって良かったことなど、恋人に愛してもらえることくらいで。 それでは、あの頃の全能感は得られない。 だから、そんな現実を忘れる為に色んなことをしているだけだ。
大人は夢を見ないのかしら。 女は夢を見ないのかしら。 男は夢を、見るのかしら?
子供の頃のように、ただ滅茶苦茶でデタラメな夢に翻弄されたい。
女になんかなりたくなかった。それは、私が女の子だった時の夢。
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