本当は、書くのをずっと嫌がってた。 前の彼の話は、極力避けようって思ってたからだ。 それは、今の彼の手前というよりは、私の気持ちの問題であって。 元より、嫌いで別れた訳じゃなかったからなんだけどね。
彼に、新しい彼女が出来たのを知ったのは、実は結構前で、 その時、私は、自分のしたことは何処かへ置いといて、彼に対して、 良かったなって思う反面、やっぱりなぁ、という気持ちがあった。
…カッコいいから、きっとすぐに次の彼女が出来る筈って、 思ってはいたけど。本当は、心の中は複雑だった。
前までは、私のものだった手や、優しい言葉は、今度はその子のものに なるんだろうなぁ、…ってな事を、おぼろげに思った。
それが嫌なんじゃない。私は、彼に、新しい彼女が出来て、やっぱり 私じゃなくても大丈夫だって、思って欲しかったのと同時に、 私じゃない事をちゃんと知って欲しかったのと、ほんの少しだけ、 後悔してくれたらいいなぁ、と思っていたのだ。
勿論、もうやり直しは効かないけど、私が彼を好きだった気持ちに 嘘は無かったし、好きじゃなかったら、きっと我慢して付き合って 行けたんだろうなぁって、思ってるけど、あのまま付き合っていたら、 どうなったのかなぁ、って、考えたりは、する。
好きだけどどうしようも無かったら、…私はあのまま壊れていたんだろうか。 それか、心中か、夜逃げか。結局破局だったかも、知れない。 私は途中で降りてしまったから解らないけど…。その続きも、見たかった ような気は、する。
でも、ね。…今の方が、私は前も、先も、あの頃より見えてると思うんだわ。 行き詰まりの恋ではなくて、今は別に、急がなくても良い恋だし。
だから、きっと、あなたも幸せになれますようにって、今は思うよ。 私じゃ出来なかったこと、私じゃない人なら今度は簡単だと思うしね。 私も、あなたで無いなら、難しい恋はしなくて済むから、本当は、気がラクで いいんだ。これは、本心だけど。 あのとき、寄せ書きに書いた私のセリフ。ずっと、って言葉に棒線を引いた こと、許さないって言ってくれて嬉しかった。
それを聞いただけでね、付き合って来れて、良かったって本当に思えるんだ。 色々あったけど、大学を卒業したら、会う事も少ないだろうから、 安心してる。あなたとの恋は、まだ、私もひきずってくって思うけど、 それでも良いってすぎちんが言うから。それも、私は、嬉しいなって思う。 いつか、彼の為にあなたのことは忘れるでしょうね。
さよなら、さよなら。
書いたら、スッキリした。できれば、できるだけ、会うことの無いように…。 まだ、臆病物の、私。時々、こんなこと、考えてる。
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