彼氏の寝息が額にかかる夜は、私は一番幸せで不幸せだ。 おでこに近づく唇も、閉じた瞳も可愛くて、上目遣いで 寝顔を見ると、心臓をわし掴みにされたように、苦しい。 こいつの眉間によったしわの数をひとつでも減らせるなら、 なんだってしちゃうかも…。そう思うのと同時に、私は 一体、いつまでこいつを「好き」だろう、と思う。
時々、彼がどれだけ自分を好きか、試したくなる。だけど、 「好き」に尺度は無い。いつでも時価な愛に相場の値段を 付けようだなんて、本当、バカバカしいじゃない。
なのに、こういう夜に限って、私は女で、こんなに馬鹿馬鹿しい ことに夢中になってしまう。だから、ばかなんだろう。ねぇ。
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