一橋的雑記所
目次&月別まとめ読み|過去|未来
2006年03月11日(土) |
やってもた……第二弾(何)。※ホントは071014. |
なのはです。 しかも、コミクス版A'sを読んでいない方には。 ちょっと通じ難いかもです(えー)。 ぶっちゃけ、コミクス版A'sの「Epologue of ACES」の。 裏読みオンリーですんで(えーえー)。
「ちょっと、頭、冷やそうか?」
ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいっ!(平伏土下座)。 出来れば、散歩コースが良いです己的にh(蹴倒
バリアジャケットを纏う。 胸の奥から、力が湧き上がるのを感じる。 掌に感じる、確かな信頼。 解き放たれる、胸の奥の熱。 この気持ちは多分。 全力で向かい合う相手としか、分かち合えない。 それを確かめ合うことが出来る今が。 多分、何より幸せなんだと思う。
take a shot
「フィールド形勢!発動準備完了!」 彼女の力の籠もった声が響き渡る。 「お待たせいたしました、おっきいの、いきますっ!」 その表情は凶暴なまでに全力全開で。 間近に位置した私の頬を綻ばせる。 時間にすれば瞬きよりも短い刹那に、彼女の視線が私のそれと交わる。 「N&F、中距離殲滅コンビネーション!」 事前の打ち合わせにある筈もない掛け声が口を吐(つ)いて出る。 「空間攻撃!ブラストカラミティ!!」 チャージされた魔力が全身を駆け巡る。 その高揚感を、隣り合わせの彼女が感じない筈はない。 ターゲットとして捕捉した、あの子も。 「どっこい、こっちも詠唱完了や!」 目の前にかざした手指を鋭く揃えて、不敵に微笑む。 「広域攻撃Sランクの意地がある!!」 訓練場中に満ちる、びりびりとした空気が肌に痛い程。 それは、それぞれが限界まで高めた魔力と気力が弾ける痛み。 知らず、頬が引き締まる。 思わず零れ落ちそうな笑みを堰き止める。 全力を発揮すれば落とせないもの、貫けないものはない筈の、私の彼女の最大限の砲撃を、避けるでもなく真っ向受け止めてなおかつ、同じだけの魔法威力で此方を圧倒しようとするあの子。 背中を走る、心地良い程の慄き。 そう、彼女に逢うまでは、知らなかった。 自分の全身全霊を掛けてぶつかる事の、心地良さ。 「全力全開!!」 「疾風迅雷!!」 彼女と私の叫びが重なる。 戦場でだけ響き渡る、ハーモニー。 「ブラスト・シュート!!!」 非殺傷とはいえ手加減抜きの、魔道砲撃を。 まともに受け止めるあの子の頬が軽く歪む。 それはそのまま、私と彼女の頬に浮ぶそれと同じだと確信する。 響き渡る、破壊音。 堅牢な結界の中、乱反射するように暴走を始める色とりどりの魔法光が、訓練場中の建造物を次々と崩壊させていく。 飛び散る破片が、頬を掠めるのにも瞼を閉じず、私は呼吸の届く距離に在る彼女を振り返り、吹き荒れる嵐に耐えて此方を見上げるあの子を見据える。 ――嬉しいと、思ってもいいのかな。 心の内にふと、零れ落ちた言葉に気づいたように。 彼女が、あの子が、ぐっと顎を引きつけながら私の視線を受け止め、鋭い視線を送り返してくる。 ――もっと高く、もっと強く。 自分の力を信じて、良いのかな。 ――この手に届く全てを守れるように。 ――その為の力で、命やから。 ぞくりと全身を駆け巡る高揚感と共に、彼女たちの声が脳裏に響く。 いや、響いた気がした、それだけかもしれないけれども。 ――有難う。 手加減抜きに、全てを突き通す強さで向かい合う。 私は……私たちは、多分。 何より大切で得難いものをこの瞬間も、築き上げている。 だから、それを、信じれば良い。 不確かで不条理なこの世にあって。 混じり気無しに、感じ取れるもの。
あちらこちらで燻り熱を帯びた残骸。 呆れ果てたように此方を見ている、私たちのリーダー。 訓練場をガードするに全力を使い果たして疲労困憊の、彼。 身体的な損傷はそう酷く無いものの、細かい傷を受けて脱力中の、あの子の守護騎士と私の使い魔。 それでも、罪悪感なんて少しも無くて。 あるのは、全力を出し切った後の、心地良い疲労。 「やってもたなあ……」 模擬戦中の激しさとは格段の落差を感じさせるあの子の声。 「やっちゃったね」 その言葉を受けて、悪戯っぽく微笑みながら呟いた、彼女の声。 「でも、楽しかったよね?」 そして、それらに正直に応える、私の声。 埃っぽく煙っぽい訓練場の空気に暫し、沈黙が満ちて。 「……ははは」 誰とも無く、笑い声が零れ落ちて。 呆れ顔の執務官を筆頭に、何が何やら、と肩を竦める周囲には申し訳ないと思いながら。 お互いが共通して抱いたこの爽快感を胸に。 私たちはいつまでもいつまでも、笑い続けていたのだった。
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