堕天使のつぶやき
堕天使でも人生楽しめる

1990年09月17日(月) 棚卸し-祖父の病-

陽気で、いつも人を笑わせていた祖父。
兄が水泳で賞状を貰ったとき、私の高校入試の結果が一番だったとき、一番喜んでいたのは祖父だった。
兄の賞状は全て額に入れて飾り、良いことがあると、近所に自慢して歩いた。
当時の私は、それが疎ましくてたまらなかったが、祖父には全く厭味が無く、孫の自慢話を聞かされる近所の人も、喜んで話を聞いてくれていたらしかった。

何時頃からだったか、そんな明るい祖父が、ほとんど布団の中で過ごすようになっていた。
大好きだったお酒・・・それまでは、楽しいお酒だったのが、アルコール依存症にもなっていた。
家中をお酒を探して回り、「どこに隠してるんだっ!」と怒鳴ることもしばしば。
酷い痛風に侵されていた祖父の身体も心配し、一日一本だけ冷蔵庫に入れるビールを見つけては、嬉しそうに飲んでいた。

嫌がる祖父を、無理やり連れていったのは、精神病院。
若い頃から兆候はあったらしいが、娘(母)の蒸発に婿(父)の死、孫の世話・・・度重なる苦労が、祖父の病に拍車を掛けたことは間違いないだろう。

病名は「躁鬱病」
その名の通り、鬱状態と躁状態を繰り返した。

私が高校に入った頃からか・・・
祖父から目が離せなくなった。
ふと目を離すと、ふらふらと出て行ってしまうようになったのだ。
行き先はというと、自宅の車庫なのだけれど、行ってみると、天井にロープを括りつけているのだ。
毎日、誰かが監視するようになった。


 <もどる  もくじ  すすむ>


きゃさりん [メール]

My追加
http://www.gumin.jp/enpitu_union.html