堕天使のつぶやき
堕天使でも人生楽しめる

1990年09月10日(月) 棚卸し−母の蒸発−

私が小学一年生の時、母は突然姿を消した。
 
その日、母は、いつもと同じように「仕事に行ってくる。」と言って家を出た。
いつも何も言わない私が、「どこ行くの?私も行く!」と泣きじゃくって母のバイクを追ったという。
20年程経って、母から聞いた話。
私には、その日の記憶は全く無い。
その後、母が帰ってこないことをどう思って、どう過ごしていたのかも記憶に無い。
うっすらと覚えているのは、その後、父と色々な所に行って、色々な人に会ったこと。
父は、母を捜している様だった。
私は、父がどこかに連れて行ってくれることが嬉しかった。
ただ、それだけしか思っていなかった。
 
私が小学二年生になって暫くした頃、母の居場所が分かった。
小学校高学年の兄は置いて、父と私と元さん(親戚のように付き合っていた近所のおじさん)の3人で迎えに行くことになった。
「お母さんが見つかったので迎えに行きます。」と担任の先生に欠席することを告げると、気の弱い先生は、オドオドして戸惑っていたようだった。
私は何も考えていなかったのだけれど。
恥ずかしいことだとも、悲しいことだとも。
むしろ、旅行気分でウキウキしていた。
 
フェリーに乗り、一晩かけて母のいる町へ向かう。
私は、母に会える嬉しさと、初めて乗る大きなフェリーにはしゃいでいた。
この旅のことも、実はあまり記憶にない。
覚えているのは、フェリーで元さんとお風呂に入ったことと、帰りに誰かの家らしき所に寄ったこと。
しかし、家の人の姿を見た覚えがない。
大人になってから教えて貰った。
あれは、ホテルだったと。
私は、小学二年生にして初ラブホ体験をしていたのだ。
なんてマセガキだろう(笑)
 
とにかく、母は、約一年ぶりに家に帰ってきた。


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きゃさりん [メール]

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