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diary
2008年01月04日(金) その先にあるもの(セリフ連)
「その先に何があるかなんて知らない」
彼女は言った。そして続ける。
「でもきっと、何もないのだと思うの。だからあたし、このまま進んでいくんだと思うわ」
その先、というのがどこを見ているかわからない目で彼女はどこかを見つめていて、ぼくはその先がどこだかわからないんじゃそこにはいきたくないなとぼんやり考えてでも、なにか言わなきゃいけないんだろうなと気を利かせたふりで心にもないことを言った。
「いいね、それ。何もないから自分で作っていくってこと」
「いいえ。作ろうにも材料がないもの。なにもないんだから」
「自分がいるんだろう」
「きっと自分さえ消えてしまうよ。なにもないところにたどり着いたら」
「じゃあどうしてそこに行くの」
「なにかがあるってことに飽きたのよ、きっと」
「あぁ、それならわかる」
ぼくはこころから同意した。たくさんの矛盾はこの際おいておくことにすればいい。なにかがあるということに、ぼくたちが飽き飽きしているってことは確かに事実だ。
「でも決して辿り着けない」
「辿り着いたときには消えて感じられなくなる」
「そう。悲しい?」
「そう。悲しい」
「でも、そうでもないよね」
「うん、そうでもないね」
何かがあるってことにはもう、慣れてしまった。
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セリフから連想 No.06「その先に何があるかなんて知らない」
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サキ
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