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me note diary

2004年03月18日(木) kissxxxx

「眠れない夜は目を閉じてから、キスしてもいいと思える殿方を思い浮かべてみるの。20人以上出てくると、とてもしあわせな気持ちになるわ。10人以下だと、とても悲しくなるわ。」


川端だっただろうか。こんな文句を覚えている。
これが何という小説の一説だったか、どんなストーリィだったか、誰が主人公だったか、そんなことをまるで覚えていない。
ただ、ある婦人のその台詞だけ、なぜか覚えている。
もう若くはない婦人だった。
それなのに、わたしはその婦人が、どんな姿で、どんな表情を浮かべて、どんな場所で、そんなことを考えるのか。それを考えて、身体がかぁっと熱くなった。
たぶんバスローブのようなしどけない姿で、寝酒代わりのブランデーで淹れた紅茶のカップがまだうっすらといい香りの湯気を上げていて、もしかしたら薄く、寝化粧でもしているかも知れなかった。
美しい想像をした。


今、わたしはそれをやってみた。
いつものように、何の色気もないパジャマ姿で、ムードを演出するものと言ったら、微かに残る、ヴァニラのお香の匂いくらい。

寝付けず、何度も寝返りをうって、思い付いた。


キスしてもいいと思える男。
それは意外に少ないことに気付いた。
ひとり、ふたり、三人まではすぐ挙がる。けれど問題はその後。
やっとの思いで七人挙げた。
でも、そこまで。
あとはどうしても、見つからない。
周りに男が少ないわけではない。それなのに、浮かぶと何かけちがついて、却下ということになる。
難しい。


ふと、やけに真剣に考えている自分に気付いて馬鹿らしくなった。
時計を見ると三時半すぎ。
今夜はどうやら、眠れそうにない。


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管理人:サキ
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