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2004年01月17日(土) 手繋鬼
「その媒介は、言葉で行う性交である。」
「こんにちわ。」から始まり、「さようなら。」でお仕舞いになる彼との繋がりを、誰かの言葉を借りて、そう、解釈しようと思った。
身体に触れることなく、いいえ、彼が今目の前に居なくても良い。
彼と繋がること全て、それをわたしたちふたりのセックスと考えれば。
わたしたちはもう、何人もの子どもを産み落としていたし、
同時に、何度もの堕胎を繰り返していた。
わたしは生み、
わたしは殺す。
彼との繋がりで、ふたり分のことをそうしてきたし、
わたしひとり分のことをまた、そうしてきた。
同時にわたしは、彼のこともそうしてきた。
彼を生み、
彼を殺した。
そして全く同じことを、彼にもさせてきた。
それはわたしが意識してそうしてきたのかもしれないけれど、
もし、わたしがそうしなくとも、
彼自身、進んで行っていたに違いないことであった。
彼は生み、
彼は殺す。
精神的繋がりは、多くのことを、繰り返す。
時に彼の言葉はわたしを優しく抱いてくれたし、
時に同じ言葉で、わたしは陵辱された。
同様に、彼も。
あぁ、誤解しないで欲しい。
別にわたしたちは、性的な言葉を遣り取りしていたわけではない。
官能小説のような、そんなやり方で、お互いの性欲のみを刺激するような、
そんな猥雑なことなどしたことはない。
そしてそんなこと、望んではいない。
ただの、言葉だけだ。
それは「こんにちわ。」から始まって、「さようなら。」で終わる。
そんなありふれた、ただの言葉たち。
だから、わたしには、夫に対するやましさなど、全くないのだ。
傷つけ、傷つき、
犯し、犯され、
愛し、愛され、
産んでは、殺した。
そして、全てには、終わりがあった。
長々と繋がった糸は、いつかその重さに耐え切れず、ぷつりと。
手繋鬼。
夕暮れになれば、帰らなければ。
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サキ
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