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2004年01月10日(土) めだまやき。
キミの眼球を、食べてしまおうと、思った。
キミの瞳は大きい。
ちょっと異常なんじゃないかと思うくらい、大きい。
しかも色は鳶色だ。
そこにぼくが映っているのが、普通に会話している時にも見えて、時々ぼくはパニックを起こしそうになる。
普通に、というのもでも、本当はどうかわからない。
ぼくの目線はキミの瞳に吸い寄せられて、いつの間にか、そこから逃れられなくなる。
会話はおざなりになり、キミの瞳だけに集中してしまう。
キミの瞳に映ったぼくのうろたえた姿のみに集中してしまう。
そんな時、キミは決まってこう言う。
「また、魔法をかけられてしまったのね。」
まるで魔法にかけられたみたいに、ぼくの身体、表情、声色、その他ぼくのすべてがギクシャクすることを、キミは敏感に見抜くのだ。
キミは金縛りの術を知っているのだね。
ある朝、ぼくが目覚めると、ぼくの隣にはキミが居る。
別に珍しいことじゃない。
ぼくはいつも、キミの隣で、キミよりも早くに、目が覚めるのだから。
ぼくはキミを起こさないようにベッドをすり抜け、
キッチンへ行き、全裸の肌に、エプロンだけをつける。
油モノを料理する時には、こうしないと火傷するんだ。
冷蔵庫には新鮮なたまご。
フライパンを熱して、油をひいて、たまごをそのまま、ふたつ、落とす。
濃い黄色の黄身に、ぼくの寝ぼけた顔が映る。
まるでキミの瞳に映ったぼくのようだ。
「キミの眼球を食べちゃおう
キミの瞳に映るぼくが嫌いだから
キミの眼球を食べちゃおう
めちゃくちゃにしてスクランブルエッグ
そのまま焼いてめだまやき
でも、キミが目を開けたままだとあまりに悲しい
だからサニーサイドアップ
きちんと目は閉じましょう」
うたいながらフライパンに蓋をして、その間にコーヒーを淹れる。
いい匂いがしてくる。
「おはよう。」
振り向くと、キミが居て、鳶色の瞳は相変わらず大きかった。
ぼくたちはとても、仲良しだった。
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サキ
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