鍋をたたく...鍋男

 

 

しろくろくん - 2001年08月09日(木)

一日外に出ていて、帰ってきたのは夜の12時頃だった。クーラーをつけて、窓を閉め、真っ暗な部屋の中を電気もつけずに入っていくと、テーブルから帽子が落ちたような音がした。「トン」。
れ、と思って足元を見ても、床には何もない。ゴキブリの音とは思えないし。気にしないたちなので、「ま、いっか」と流してCDをかける。
と、足元を黒い固まりが風のようにすり抜ける。「うわ、びっくりした」。一人でさわいでもしょうがないのに、自分の感情を確認するかのように、声に出していた。

ホルスタインのように見事に塗り分けられた白黒の猫。窓から出られないことを知って、僕の足元をすり抜け、家の奥へと逃げ込んだのだ。彼もびっくりしただろう。ドアを開け、猫のいるところをのぞき込む。「出て行きや、ここはあかんよ」。白黒君は家具の隙間をがんばってすり抜け、僕が攻撃的でないのを見極めたのか、とことこと玄関から出ていった。ほん、5分ほど前の事である。

めちゃめちゃびっくりした。

まさか、留守の間に猫に自分の家を使われていようとは想像もしなかった。一日家を空けてたので、もしかすると、朝から私の部屋で、わが家のように振る舞っていたのかも知れない。ちょっとしゃくだ。

まわりを見回してみても、書類一枚、消しゴム一つも落ちていない。出る前とまったく変わらない部屋。白黒君は今までも私の部屋でくつろいでたりしたのかも。やっぱりなんかしゃくだな。

人が実際に住んでいるこの部屋に、窓が開いていたとはいえ、わざわざ入ってきたのはかなり人になれている猫なのだろう。人の匂いに安心して入ってきたわけだ。

家具の隙間に頭をつっこんだものの、体を滑らせるのにがんばらなければいけないあたり、少し太り気味のようだ。もしかしたら、「元飼い猫」ではなくて、どこかの「飼い猫」なのかも知れない。

目のきつさもそんななかったし、完全な野良ではまずない。近所で誰かが餌をやっている、「外猫」という事も考えられる。

基本的に犬猫は好きなんだけど、ここはペット禁止。ルールを破ってまで欲しいとも思わない。ま、ご近所さんのようだし、機会があればまた会えるでしょ。

今日はまだ仕事が残っている。

仕事を始めるのに「今日はすずしいな」とまた自分に説明しながら、クーラーを消して窓を開けた。


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