心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2013年02月14日(木) 神聖モテモテ論

12ステップやらAAの話ばかりではつまらないので、たまには趣向の違う話を書いてみましょうか。明日はバレンタインデーだし(関係ないか)。

近年、婚活が流行っているのだそうです。婚活パーティとかネットの婚活サイトなどの婚活産業も盛んです。昔だったら、親戚や近所にお節介なおばさんがいて、頼みもしないのに見合い話を持ってきてくれたものです。(若かりし僕の所にもいろんな話が来ました)。

しかし、そのようなお節介おばさんも絶滅危惧種になったようで、滅多に見かけなくなりました(そのうちレッドデータブックに載るかも知れません)。その代わりに婚活産業が隆盛したのは(介護ばかりではなく)婚活も社会化が進んだということでしょうか。

婚活によって、すんなり相手をゲットする人もいれば、なかなか成功しない人もいます。「なぜ私の婚活はうまくいかないのか」という疑問にはどう答えれば良いのか。

貴様がなんでもてないかというと、貴様だからだ。

というファーザー様のお答えで済ますわけにもいきません。

話は変わりますが、以前に勤めていた会社が倒産し、やむなく就職活動で面接を受けたのですが、そのときある採用担当者がこんな事を言っていました。

「企業にとっての採用(求職者にとっての就職)は、結婚に似ている」

企業がどんなに「この人を採用したい」と思っても、その人が求人に応募してくれなければ採用できない。求職者にとっても、どんなに「この会社に就職したい」と願っても、会社が承諾してくれなければ就職できません。

この話は、相思相愛になることの難しさを述べているだけではなく、もうひとつ意味があります。求職者はどの企業の求人にも応募できる自由があるのに、採用する側は応募した人という限られた選択肢の中から選ばざるを得ない、その窮屈さを述べています。二重の意味で結婚(とか恋愛)に似ているのです。

動物の多くは「女性選択(female selection)」です。これは、雄が雌に求愛を行い、雌は自分に求愛してくれた雄の中から一番良さそうな相手を選んでつがいを作るという仕組みです。雄は求愛の際に、様々なアピールをして自分を選んでもらおうとします。クジャクは立派な尾羽を広げ、ヤマドリは大きな巣を作ります。この他にもきれいな声で鳴いたり、エサを差し出したり、ダンスを踊ったりと涙ぐましい努力が行われます。

雄の求愛を受け入れるかどうか、その相手と交尾するかどうか。それは雌側に選択権があります。人間とて例外ではありません。「セックスさせてくれよ〜」という男の要求にオーケーするかどうかは女性の権利となっており、相手が嫌だと言っているのに無理矢理やってしまうと、強姦として非難を受けることになります。それは人間の法によるものですが、その根拠を突き詰めれば、人間の雌ばかりでなく動物全般の雌が持つ選択権に行き着くことになります。

なぜ女性選択が成り立つのか。それは雄と雌の繁殖コストの違いで説明されます。繁殖するために雌は妊娠・出産・子育てという大きな負担がかかり、その間は次の繁殖が制限されます。一方雄の側は、精子をばらまくだけで繁殖が可能だし、そもそも自分のパートナーが育てている子が自分の子かどうか確かめられません(人間は科学によってその検査を可能にしましたが、自然界では無理です)。

その結果、雄は雌に求愛して周り、雌は自分に求愛してくれた雄の中から相手を選ぶ、という仕組みができあがったと考えられます。先ほどの採用担当者の言葉を借りれば、男性=求職者、女性=企業、というわけです。(最近は肉食系女子も多いから男女逆でも良いでしょうけど)。

参考:性淘汰の原因
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E6%B7%98%E6%B1%B0#.E6.80.A7.E6.B7.98.E6.B1.B0.E3.81.AE.E5.8E.9F.E5.9B.A0

どうやったらたくさんの異性にモテるか・・は知りません。でもパートナーを一人つかまえたいという話ならば、「婚活は就職活動と同じ」ではないかと思います。自分を採用してくれる会社にあたるまで、ひたすら応募し続けるしか他に方法はないのじゃないか。婚活も同じです。

しかし、それはメゲる方法かも知れません。あるAAメンバーは、就職活動で100社以上に落ち、その頃はさすがにメゲていました(100社目に落ちたときはスポンサーが飯をおごってくれたそうです)。でも終いにはちゃんと採用されました。別のAAメンバーは数十回見合いをし、断られ続けたものの、最後には幸せな結婚をしたと聞いています。

それにしても応募したくなるような企業、じゃなかった求愛したくなるような異性がいないんだよ、とお嘆きの人もいるかもしれません。それは仕方ないことでしょう。ハタチで婚活する人は滅多にいません。たいてい35才、40才を超えてからの婚活です。その頃には、釣り合う年齢の相手はたいてい片付いており、市場に残っているのは残り物です。残り物は嫌だと言ったって、自分がその残り物なのだから仕方ない。

初婚の人は男でも女でも自分より若い相手を求めるそうです。それは結婚生活を経験していないので精神年齢が若いからでしょうか。自分では若いつもりでいても、肉体の加齢は避けられません。若い人から見ればおじさん・おばさんですから、年齢以外の魅力がたくさんなければ難しいでしょうね。

俺は若い娘じゃなきゃダメだとも言わないし、高望みもしていないのに、なぜか婚活に成功しない、という人は何かが足りないのではないかと思います。個別に何が足りないのかは分かりませんが。

企業経営には「ロマン・我慢・そろばん」の三つが必要だそうです。この言葉を最初に言ったのが誰なのかハッキリしません(経営の神様と呼ばれた松下幸之助ですかね)。

還暦を超えて婚活を開始したIさんは、「この年齢になって初めて、残りの人生をすべてかけても良いと思えることに出会いました」と現在取り組んでいる仕事?のことをメールに書き、それを読んで「この人なら」と思った女性が今の奥様だそうです。やはりロマンを語れなければ人はついてこないか。

しかしロマンを語ってばかりで努力できない人も困りますから「我慢」も必要ですし、経済もついてこないと生活できませんから「そろばん」も必要でしょう。

こう考えてくると、婚活が面倒くさいと考える人がいるのもうなずけます。そもそも結婚というのが面倒くさいものですし、我慢も必要だしお金もかかります。それは恋愛も同じ。

昔は結婚しないと一人前の大人とは見なされない風潮がありました。また、国全体が貧しくて、なるべく共同生活をしなければ生活が成り立たない事情もありました。しかし、結婚を仕向ける社会的圧力が減り、自分一人分の生活費を稼いでコンビニ飯で生活できる世の中になって、面倒くさい結婚(とか恋愛)に取り組む人が減ったのは仕方ないことなのかも知れません。

というわけで、どうやったらモテモテになれるかという話はまるでないまま、このエントリはおしまいです。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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