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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年08月01日(月) イライラ3年、ぼちぼち5年 AAの僕のホームグループは、週に一回しかミーティングをやっていません。そこで月の奇数週はクローズド、偶数週はオープンのミーティングにしています。年に何回かひと月に同じ曜日が5回ありますが、このやり方だと第5週はクローズドになります。
うちのグループは、池袋の某グループのやり方をかなり真似ているのですが、そこのグループでは第5週は「お楽しみミーティング」と称して外部から人を呼んで話をしてもらっているそうです。面白そうだから、うちでもそれをやってみよう・・ということで、7月末から「お楽しみミーティング」を始めることにしました。
第1回は誰を呼ぼう・・・田舎だからそんなにアテがあるわけでもなく、近隣の断酒会の設立者で長年会長を務められたTさんご夫妻をお招きすることになりました。
Tさんは、断酒の始めの頃は別の断酒会に属していたのだそうです。しかしそこの会長が再三再飲酒し、責任を取って会長を辞任すると言っては、やがて前言撤回して会長の座に留まる・・歯を食いしばって酒をやめている新人会員もいるのにと腹立たしい思いをしたTさんは、「会長が辞めないなら俺がやめる」と言って2年経ったときに断酒会を退会してしまったのだそうです。
しかし、一人で酒をやめ続けることはできないことも分かっていたので、周囲の勧めもあって今の断酒会を設立。元の断酒会とは絶縁状態での始まりだったので、やっかみから「3ヶ月も続かない」と揶揄されたそうですが、苦労の甲斐もあって会は隆盛し、Tさんは県断連の役員を長く努められました。
AAに「彼は恨みとコーヒーポットを抱いて出ていった」という言葉があります。病気の人間の集まりであるのはAAも同じです。時にはメンバー同士のいざこざが深刻な対立に発展することもあります。一方が袂を分かって出て行ってしまうこともあります。しかし、出ていった者が自分に正直であれば、飲まないで生きていくためには仲間が必要であることに気づくでしょう。そうして新しいグループが誕生します。
アメリカでAAが始まった頃、しばしばそうやって新しいグループが誕生し、AAが増えていったのだそうです。オフィスを構えたばかりのビル・Wの元に届く手紙は、そうしたグループ同士の仲裁を依頼する内容ばかりだったとか。
Tさんの話も興味深い者でしたが、もっと関心を集めたのは奥様のお話でした。
「イライラ3年、ぼちぼち5年」という言葉が印象に残りました。
酒をやめた当人は3年ぐらいはひたすらイライラしています(本人側にその自覚はないけどね)。それがぼちぼち取れてくるのが5年ぐらい。離婚しなくて良かったかなと思えるようになるのが、およそ10年だとか。飲まれていた頃は、死んだって決してダンナと同じ墓に入るものか。自分の灰は山にでも川にでも撒いてくれればいい・・と思っていたのが、このごろは「そこまで意地を張らなくても良いかも」と思うようになってきたそうです(Tさんは断酒24年)。
以前ホワイト先生の講演で、どれぐらい酒をやめていれば回復と言えるかという会場からの質問に対し、「最低でも5年、できれば10年」というのが先生の答えでした。10年というのはここでも一つの目安になっています。(まあもちろんその間に薬物乱用とかナシで願いたいけど)。
AAでも最近は最初の年から週に一回しかミーティングに行かない人が増えていますが、断酒会はどうかとTさんにお尋ねしたら、断酒会も昨今は週に一回だけの人が増えたことを憂慮されていました。せめて週に3〜4回と出て、自分の会だけでなく、他の会のやり方を知ることで、「断酒会はこういうものだ」ということが分かっていく、それが大切だそうです。
奥様は、夫婦揃って例会に出席することの大切さという話をされていました。ダンナさんだけが出てきて回復している人もいるが、奥さんとしては「せっかく酒をやめたのに毎晩いない。週末は断酒会の催しで一泊二日で金ばかり使って・・」という不満が出てくる。それで旦那さんが断酒会に出づらくなり、やがて退会、再飲酒となりがちですが、一緒に動いていればそうはならないと。
小さい子供がいれば、その子に留守番させて夫婦で夜の例会に出るのはためらわれるかもしれません。しかし、奥様はこうおっしゃいました。子供にとっての幸せは、とうちゃん・かあちゃんの仲がいいことだ。夫婦揃って家にいても中が悪けりゃ子供は不幸せだ。だから二人で例会に行くことが大切で、少なくとも私はそう教えられたと・・そして、「あんまり小さいなら一緒に連れておいで」とも。
一時間半のお話しの内容は、とてもすべてここには書ききれません。Tさんは、抗ガン剤治療の疲れも感じさせないお達者ぶりでした。本人だけの集まりであるAAは、普段なかなか家族側の話を聞く機会がないだけに奥様の話は新鮮でした。
それにしても「イライラ3年、ぼちぼち5年」とは良い表現ですね。
さて次は9月にも第5週があります・・次は誰をお呼びしようか。
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