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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年08月04日(木) 自尊感情・自己評価について(その1) esteem という英単語は「尊重する、高く評価する」という意味です。
the esteem of our friends and business associates は「友人や同僚からの信用」と訳されています(12&12 p.120)。
セルフ・エスティーム(self-esteem)は、自分で自分をどう捉えているかです。ビッグブックのピーター訳版では「自尊心」と訳されていますが、新訳では「自己評価」となっているので、いまビッグブックのやり方をしている人たちは、もっぱら「自己評価」という言葉を使っています。
自己評価の低さは「自信のなさ」と言っても良いでしょう。ただし、それがいつも自信のない態度として表れるとは限りません。自己評価の低い人は異性と付き合おうとしないし、せっかく異性から誘われても断ってしまいます(自分に自信がないから)。
しかし、性的に活発な人の自己評価が高いとも言えません。浮気ばかりするダンナは、自己評価が低い(特に男性性に自信がない)からこそ、異性交遊によって手っ取り早く自己評価を高めようとしているだけだったりします。このように自信満々である人の自己評価が高いとは限らず、その態度は自信のなさの裏返しであったりします。(虚勢を張るというヤツで、しばしば依存症者はこれをやる)。
自分自身のことを正確に捉えるのは難しいことです。時には高く捉えすぎて自信過剰になり、また低く捉えて自己憐憫にはまります。表面で意識される自己評価がどうであれ、奥深いところでは人間は正直なものであり、それがその人の感じ方や行動様式として表れてきます。
もしあなたが、自分のことを傷つきやすい繊細なタイプだと感じていたり、日常生活の中でイライラさせられることが多いのなら、自己評価が低いと思って間違いがありません。
自己評価の低い人は、恨みや恐れを抱きやすい人であり、罪悪感や自己憐憫に支配されやすい人です(人との境界線が曖昧になりやすい人と言っても良い)。自己評価の低い人は自ら行動する人ではなく、他者の言葉や行動に「反応する」人です。ステップ4では、自分の自己評価が傷つけられたとき、私たちがどのように反応したかを過去のパターンを分析します。
ステップ5で私たちは、自己評価が自分で意識していたより低いことを知ります。その自己評価が何らかの外因によってさらに脅かされたとき、私たちは激しく反応し、恨みや恐れに支配されて行動し、それが自分の首を絞める結果につながりました。(もちろん脅かされるのは自己評価に限りません、財産だったり人間関係だったりいろいろですが)。こんなことを続けていたら、私たちはまた飲んでしまうでしょう。依存症の再発は死につながります。
飲まない生活を続けたければ、私たちはこの反応パターン(行動様式)を変えねばなりません。それがステップ6から先です。
スポンシーに対して「ここであなたが怒ったのは、相手の言葉で自己評価が傷ついたからでしょう」と言うのは簡単です。自分の怒りは自己評価が傷つけられたからという理由が示されるだけで、行動様式を変えられる人もいます。しかし、皆がそうではないし、変えられる人であっても、自己評価は低いままです。だとすれば、その人は相変わらず恨みや恐れを抱きやすい人であり、それを防ぐために大きなエネルギーを費やしていかねばなりません。
やはり「回復」と言うからには、自己評価そのものが高まっていくことも必要です。実は、ビッグブックにも12&12にも「こうやれば自己評価は高まる」ということは直接的には書かれていません。
どうやったら自己評価を高めることができるのか、それが問題です。
自己評価が高まった「つもりになる」ことは簡単です。それは自信過剰への道です。自信過剰の後には必ず自己憐憫が待っています。やはり「つもりになる」だけではダメで、本当に高まらねばなりません。
(つづく)
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