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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2010年02月02日(火) 酒類販売管理協力員 昨年の5月に市の広報誌を見ていたら、酒類販売管理協力員募集という記事を見つけました。募集元は国税庁。何をするかというと、酒の売り場に行って「ここは酒の売り場である」「未成年に酒は売らない」という表示がきちんとされているかチェックする仕事です。
ちょうど会社から賃金カットが提示され、それに応じて休日が支給され、減収分のアルバイトを許可するという話があったところなので、税務署に電話をかけて応募の手続きを尋ねました。ウェブから申込用紙をダウンロードし、記入して郵送するだけでした。
一ヶ月ほどしたら、税務署から電話で採用の通知があり、説明会をやるので来てくれと言われました。念のためネクタイを締めて出かけることにしました。
会場に着くとすでに20人ほどの人が集まっており、定年後のおじいさんや主婦らしいおばさんがメインでした。署長の挨拶の後、一人一人に依頼書が手渡され、説明が始まりました。自分が選んだ酒類販売場(酒屋やコンビニやスーパーの酒売り場)に行って、注意書きが正しく書かれているかチェックするのが仕事です。チェックポイントは、酒の売り場がちゃんと他と区分けされているかどうか(酒以外の商品とのごちゃまぜは不可)、そこにはお酒の売り場と表示されているか、年齢確認をして未成年には売らないと表示があるかどうか。そういう表示の大きさとか、商品で隠れてないかとか。あとは酒の自動販売機のチェック。説明書を捨てちゃったので、細かいところはうろ覚えですが、ざっとこんなところです。仕事はチェックと報告だけで、是正指導は税務署の仕事なのでやってはいけません。
説明が終わると、管内の酒売り場から自分の調査したいところを選びます。みんな自分が買い物にいくスーパーなどをチェックするので、選ぶ順番が後になると、遠くのコンビニなどを選ぶ羽目になります。選び終わるととっとと帰ってしまう人がいましたが、きっと毎年やっていて手慣れているのでしょう。
調査一件あたり報酬は千円。そして一人あたり11件だから、僕の実入りは11,000円。件数は税務署によって違うようですが、国がこの調査員に用意した予算が2,000万円、募集する調査員が2,000人ですから、平均すれば一人あたり1万円ということになります。ちょっとしたアルバイト感覚ですね。
僕はスーパーを4件、ドンキとヤマダ電機とドラッグストア各1、残りはコンビニを選びました(ヤマダ電機で酒を売っているとは知らなかった)。店を回ってチェックして、調査票に書き込むだけだから簡単な仕事です。店に入って何も買わずに出てくるのは、ちょっぴり強心臓を要求されるかも知れません(なにせ1件あたり千円ですから、下手に買い物をすると報酬が減ってしまいます)。
どの店も非常に真面目にルールを守っていらっしゃる。たまに表示が商品で隠れちゃっている程度です。・・・ところが、近所のドラッグストア1軒だけは、全然違っていました。商品は酒と酒じゃないのが混じって展示され、表示も何もなし、まるっきりルール無視なのです。当然×印ばかりの調査票を提出しました。
報酬は忘れた頃に銀行に振り込まれました。最初に申込書を書くのに1時間、説明会に2時間、調査に3時間、調査票の提出に1時間、合計7時間とすると時給千五百円ぐらいの仕事でした(当然その収入は税務署に捕捉されるでしょう)。
それから例のドラッグストアに行くたびに、酒売り場を覗いてその後どうなったか確かめているのですが、数ヶ月経った現在もルール無視のまんまです。未成年の飲酒を防止するには、未成年に酒を売らないのが一番で、警察よりも国税庁がその施策の中心を担っているだとか、酒類販売管理協力員制度を活用して販売店を強力に指導している、などとどこかに書いてあったりしますが、この例を見る限り実際にどれだけの指導が行われているのか大いに疑問です。事業仕分けで消えていっても構わない施策だったりして。
本気で未成年者の飲酒を減らしたければ別のことをしなくちゃね。
今年も募集があるでしょうから、時間がある方はチャレンジしてもいいかも。でも、酒売り場に出入りするのはお薦めできないか。ま、奥様にやってもらえばいいのでは。
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