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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2009年11月18日(水) ネガティブな認知バイアスの解除 今日の雑記は、こちら
http://blogs.yahoo.co.jp/psykoba/33667251.html
の文章の焼き直しなので、専門家の文章がお好きな方はそちらをどうぞ。
認知のネガティブバイアス、というのは、物事をネガティブに捉えてしまう傾向です。ちょっと前に二郎さんの水色の掲示板にも書きました。
人の顔写真をたくさん用意します。ある写真の顔は明らかに笑っていたり、優しそうで機嫌が良さそうに見えます。別の写真は、明らかに怒っていて不機嫌です。他の写真はその中間の様々なレベルです。つまり、曖昧な表情を機嫌が良い・悪いのどちらに読み取るか、という実験をします。
認知にネガティブバイアスがかかっている人は、曖昧な表情を「機嫌が悪い」と受け取る頻度が高くなります。
例えば、AC(アル中さんの子供たちが成人した後)の人たちには表情の読み取りにネガティブバイアスが観察されます。親(アル中)のご機嫌は変わりやすく、先ほどまで機嫌良くしていたかと思うと、些細なことで怒り出しみるみる機嫌が悪くなって、嫌なことを言われたり、夫婦げんかが始まったり、果ては暴力をふるわれたりします。だから、機嫌が悪くなりそうな徴候をいち早く察知して、逃げ出すなり親のご機嫌を取るなり対策を取らねばなりません。そのためには親の表情の些細な変化も見逃してはいけません。子供の頃からそういう鍛錬を積んだ結果、大人(AC)になってもその癖が抜けず、親でない他人の表情を見てはハラハラする日々を送ってしまいます。
(親の機嫌急降下癖は、酒をやめてもすぐには改善しない、ということもあります)。
表情だけに限らず、他の人の言葉や行動全般にネガティブに受け取ってしまいます。たとえば出勤して同僚に「おはよう」と言ったのに、相手が返事をしてくれなかった、あるいは返事が生返事だっただけで、同僚がこちらのことを嫌っているのではないか、と恨みを持ってみたりします。
ネガティブバイアスは、アル中さん本人にも、その家族にもあります(だからこそ些細なことで機嫌が急降下するわけです)。また、うつ病の人など、他の精神の病気にもあります。不安障害なんて認知バイアスそのものかも。
で、上記の記事では、抗うつ薬を飲み始めると2〜3週間なんて言わずに、すぐにもこのネガティブバイアスの改善が見られるという話になっています。そして、そのバイアスの消失がうつ病を改善するという説を立てています。
(昨日のダウンレギュレーションの話は、この話の前ふりでした)。
自分の認知にネガティブなバイアスがかかっている、ということを意識することは大切だと思います。相手の表情・言葉・行動をネガティブに(悪意を持っていると)解釈してしまうと、心の中に恐れ(不安)が発生します。恐れは恨みを呼び、恨みが外に向かえば対人攻撃になって人間関係を険悪にし、内に向かえばうつ症状となって、ネガティブバイアスを強化する悪循環となります。
掲示板やブログのコメント欄などでつまらぬ争いが起こるのも、発端は些細なコミュニケーションギャップであることがほとんどです。つまりネガティブな認知バイアスを持った人たちがトラブルを起こしているわけです(メンヘル系の特徴)。
相手の言葉や態度に「カチン」と来たときも、不安に襲われたときも、相手が悪意を持っている(こちらを嫌っている)わけではない(かも)と相手の言動を評価しなおしてみることが必要です。そして「なぜカチンと感じたのか」を自分の側の問題として探ってみます。それは例えば相手の態度に「上から目線で嫌な印象を感じる」程度のことでも、試してみると効果があります。
そして、相手に多少の悪意があったとしても、それを受け流すだけの余裕があればよりベターです。暁仙和尚が言ったように「人には馬鹿にされていよ」というぐらいでちょうどいいわけです。
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