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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年06月05日(木) 片づかない 服の入っている段ボール箱の整理に取りかかった途端に、物事が進まなくなってしまいました。
例えばワイシャツだけで三十数枚あるのです(もっとあるかも)。半袖長袖あわせてですが。
といっても、僕が着道楽というわけではありません。いつだってタンスの中に入っていたワイシャツは数枚だったのです。残りのものはすべて押し入れの段ボール箱の中などに保管(?)されていました。
だいたい、洗濯機に放り込んだ衣服が、干されて畳まれてタンスに帰ってくるという過程の中で、とっちらかった部屋の中のどこかに行方不明になってしまうような家にいたのです。だから、夏から冬へ、冬から夏へ季節が変わる中で、タンスの中にしまわれた服が出てこなくなったとしても、不思議ではありませんでした。
それが引っ越しの時に全部出てきて、今この狭い部屋の中に積まれています。そのほかの服も大なり小なり似たようなもので、半分ぐらいは捨てざるを得ません。中にはボロボロになって、なんでこんなのまで取っておいたんだろうと不思議に思うものもあります。
結婚当初、僕は今よりずっとお金がありませんでした。働いても貧乏な上に、貧乏だからこそ貯金をしようと夫婦で決めて、毎月積み立てをしていました。子供も生まれて、自分の服を買っている余裕などなく、襟のすり切れたシャツだとか、肘や膝の抜けた服を着ていました。勤めていた会社の社長が「まるでウチがまともな給料を払えてないみたいでみっともない」と叱られても平気で、逆にボロの服を着ているのが自慢なぐらいでした。それでもたまに服を買えば、やっぱりその新しい服がお気に入りになって、そればかり着るものだから、せっかくの新しい服もすぐに古びてしまうのでした。
(元)妻は二十代の頃の時代遅れの服を着てダサダサでした。義姉のところは三人娘なのですが、その「三人目のおねーちゃん」の着た服を、うちの長女のためにお下がりでもらって着せていました。だから次女なんて五人目のお下がりです。
それでも、増えていく通帳の残高が夫婦の共通のよろこびでした。もちろん、押し入れの中に余分な服があったりしませんでした。
しかし、時間を経るうちにそれが変質してしまいました。
妻が妻で「どこにしまったかわからないのよ。着る服がないのなら、今度の土曜日に買いに行きましょう」という妻になれば、ダンナはダンナで「それではいけない、もう一度頑張って探してみなさい」と諭すことのできないダンナになってしまっていたのです。残高はマイナスになりさえしなければいいやという具合に。
段ボール箱が欲しければ、スーパーの隅へ行けばいくらでもタダでもらえます。今回の引っ越しではサイズの揃った段ボール箱をわざわざ買ってきました。衣装ケースのかわりに使って押し入れに服を整理してしまっておくためです。
が、しまう前に洗濯しなければならない服が多すぎます。そして梅雨空が恨めしいのであります。
元妻のことはもう書くまいと思っていたのですが、ついついまた書いてしまいました。
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