心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年01月29日(火) 金銭的埋め合わせ

3千円を封筒に入れて送りました。

ステップ9は「埋め合わせ」です。元々のオックスフォード・グループでは、この言葉は「償い」あるいは「賠償」だったのですが、AAでは「埋め合わせ」という言葉に代えてあります。それは賠償などという言葉を聞いただけで、アル中さんはメゲてしまい、ステップ9どころかステップ全体を避けてしまうからだそうです。ビル・Wはこうしたアル中心理を理解し、別の言葉に置き換えるのがうまかったのでしょう。

埋め合わせには大きく分けてふたつあると言われます。ひとつは謝罪、もうひとつは物質的埋め合わせ。

相手を傷つけたこと(迷惑をかけたこと)を詫びるのが謝罪です。このときに依存症という病気の説明をすることは大事だと思います。飲んでいた頃の僕らの行動は、いつも不可解でした。人は相手の不可解な行動(狂気)に触れると、人間そのものについての信頼を失って傷つくのです。相手が依存症のことを知っていれば、知らせることは不要でしょうし、言い訳になってしまうなら謝罪だけしたほうがいいと思います。
「申し訳ありませんでした」とか「ごめんなさい」とか、最初はなかなか言えないものですが、だんだん慣れてくるものです。生きていれば人を傷つけ続けるもの、埋め合わせも続いていくものですから、慣れます。それを回復というのかもしれません。

借りたもの(奪ったもの)は返すのが原則です。
お金を返そうと思う時に、借りていた全額耳をそろえて返したいと思うものです。つまり格好良く返したい。格好良く埋め合わせしたい=格好良くステップをやりたい、これは「自分の古い考え」ってやつですね。僕はこのせいでずいぶん先延ばしをしました。
少額ずつでもこつこつ返せばいいのだと教えられて、やっと始められました。
で、毎月一万円ずつ送る決心をしたのですが、我が家でも諭吉君は絶滅危惧種ですから、「申し訳ないけど今月は送れない」という月が何ヶ月も続いてしまいました。しかし、ふと思ったのです。最低一万円ぐらいでないと「恥ずかしい」と思ってしまった僕は、やっぱり格好良く埋め合わせをしたいという虚栄心にとらわれていただけではないかと。

貯金ができるぐらい生活に余裕がある時は、金を返す気持ちはさらに減少するのも体験してきました。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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