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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年01月25日(金) いつでも戻れる 昨年AAの金を何百万円か持ち逃げしたメンバーの一件を聞いたときに、最初に思い浮かんだのは「その人またAAに戻ってこれるのかな?」という心配でした。
行方をくらました人を追いかける力はAAにはありません。おまけに不手際があって、持ち逃げ行為を訴えることもできなかった、とあっては歯がゆい思いをした人も多かったに違いありません。お金は必要だから集めたのであって、無くなれば困ってしまいます。困ればそこに怒りや恨みも生まれて当然でしょう。
金が返ってくればいいという問題ではありません。どこかの会計係を任されたメンバーが、その金を使い込んでしまい(しまったらしく)、顔を出さなくなるということはあります。それを放置しておくわけにはいきませんから、その人に連絡を取ったら、金は戻ってきたけれど、その人はAAからいなくなっちゃった、というケースはいくらでもあります。
メンバー同士いがみ合っていたのではAAが続いていきません。つまり赦しが必要ということです。一方、何でもかんでも許せばいいというものでもありません。ストーカー行為やセクハラがまかり通っては困ります。社会の中のAAですから。その線引きをどこにするのか、明確な指針など聞いたことがありません。
ただ、ひとつ確かなことがあります。依存症とは、酒を飲み続ければ、いずれ酒で死ぬ病気です。そしてAAメンバーが「AAには人の命を救う力がある」と信じるのならば、依存症者をAAから拒絶することが、その人に対して死刑宣告をするに等しいということは理解してもらえるでしょう。
再飲酒した人がもう一度AAに戻ろうとしても、心理的抵抗がある(敷居がすごく高く感じられる)ものです。僕もそうでしたから。社会的に何の罪もない再飲酒ですらそうなのですから、実際問題として持ち逃げの人がAAに戻ろうと思う可能性は低いのかもしれません。
でも、その人が戻りたいと思えば戻れるのがAAです。
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