心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」

たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
もくじ過去へ未来へ


2007年10月25日(木) 信用(その1)

ソーバー2年目の時でした。あるAAの集まりの帰りに、ソーバー10年以上のAAメンバーを車で送っていく事になりました。
その人とは何度もミーティングを一緒にやっているものの、それほど親しい間柄でもなく、車中の会話は途切れがちでした。当時、AAのサービスという得体の知れない物に関わるようになった僕は、そこで抱えるようになったひとつの大きな疑問を、この先輩にぶつけてみることにしました。

「信用できるAAメンバーと、信用できないAAメンバーって、どうやって見わけたらいいんですか?」

・ ・ ・

そのことと時期は前後しますが、こんな事がありました。
毎年夏になるとAAメンバーが集まってバーベキューをしていたのですが、僕はその夏の準備部隊の一員に選ばれました。難しいことではなく、買い出しと、現場の準備をするだけです。でも、僕はそれまでバーベキューをほとんどやったことがありませんでした。だから、何をどう準備すればいいのか、買い物も肉は一人何グラム? 野菜はどれをどんだけ? 焼きそばとかどうするの? 飲み物の量は? 燃料は? 油は? 調味料は? 道具は? と分からないことだらけでした。
幸いなことに、僕より1年半ソーバーの長いメンバーがいて、「俺は経験があるから任せておけ」というので、僕はほっと胸をなで下ろしました。彼はAAでの活動が活発でしたから、信用し大丈夫だと判断していたのです。
ところが、いざ買い出しに行くと雲行きが怪しくなりました。肉をどれだけ買うのかも決まりません。そもそも今日何人集まるかも分かりません。二人でうーんと唸っているだけ。結局、ろくに買い物もできないままにバーベキューサイトに戻りました。

AAでは仲間の失敗は許してくれます。準備ができてないことで、その後大もめにもめることもなく、管理人さんに頭を下げたり、皆で追加の買い出しに行ったりして、なんとかそろった物でバーベキューをやりました。誰も文句は言いませんでしたが、僕の経験の中で最も悲惨なバーベキューでした。責められはしなかったものの、準備部隊の一員として、どうしてこうなったのか考える必要があると思いました。

数週間後、彼が行方不明になり、さらにその後再飲酒で入院したと聞きました。思うに、あのバーベキューの時にはもう飲み始めていたのでしょう。

(続く)


もくじ過去へ未来へ

by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


My追加