心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年07月13日(金) 経済的自立とは(その1)

AAで言う経済的自立とは、自分で使うお金を自分で稼ぐと言うことではないと思います。あなたの財布にお金を入れる人が誰であるか、つまりあなたの稼ぎだろうが、配偶者の稼ぎだろうが、親や兄弟の援助だろうが、あるいは失業保険・傷病手当・生活保護・障害年金などの公的扶助だろうが、貯金を食いつぶしているだけだろうが、それはこの際問題ではないということです。
問題なのは、あなたが自分にかかる経費を、自分の財布から出しているかどうかです。出所がどこであれ、いったんあなたの財布に入ったからには、あなたのお金です。それをどう使うかは、純粋にあなたの問題です。伝統7が問うているのは、誰が財布に金を入れるかではありません。自分の経費を誰の財布から払うかです。

一人暮らしで酒を飲んでいた頃、水道と電話は良く止まりました。金を払わないからです。幸い電気が止まった経験はありませんし、ガスは契約してなかったのでメーターが取り外されていました。

水道が良く止まったのは、不払いの常習犯になると銀行引き落としにできず、窓口納付になるからです。そもそも払うのが面倒なヤツに、市役所まで来て払えと言うのは無茶な話です。最初は半年ためないと泊まらなかった水道が、そのうち払わないとすぐに止まるようになりました。止水栓が締めてあるだけだったのが、勝手に開けて使っちゃうので鍵が二重三重と増えていったりして・・。
水道が使えないと、トイレが流せないとか、流しに吐いたゲロが始末できないとか、ただでさえ劣悪なアル中の一人暮らし環境が、さらに最悪なものになります。

恨みましたね。何で俺が、こんな目に遭わなきゃなんねーのか。我意でよけいな手間をかけさせてるだけなんですけどね。誰か自分のかわりに水道代を払ってきてくれないかな、とか考えたりしました。面倒なことは全部誰かに任せて、僕は酒を飲んで安楽に暮らしたかったのです。

水道も電気も契約をした覚えはありません。不動産屋に何日に入居と伝えておくと、その日には水も電気も使えるようになっている。それを不思議に思いませんでした。でも、公共サービスは利用者が経費を負担することで成り立っています。

僕は、水道の蛇口をひねることで、また何かのスイッチを入れることで、水や電気という公共サービスをリクエストしていると考えたことはありませんでした。基本料金+使った分というルールは理解していても、金を「取られている」という意識でした。自分が要求しているという意識がないので、誰かがかわりに払ってくれていたらいいのに、と思ってしまったのです。

「自分が要求したサービスの経費を払うのは当然のこと。誰かに払ってもらうのではなく、自分が払う」 伝統7が言っていることは、常識的にすぎません。要求していることすら意識していないこともあるけれど、負担があるのは当たり前です。

AAのオフィスからはいつも、「お金がないんだよー」「献金が足りないんだよー」という声が聞こえてきます。いつも金の話ばっかりという気もして、言う方も言われる方もうんざりって感じもあります。でも、AAのオフィスって「サービスをするためのオフィス」なんです。しかも、「僕ら」がリクエストしたサービスをする機関です。

(たぶん続きます)


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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