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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年07月02日(月) 再飲酒の準備作業 光市の母子殺人事件の差し戻し審。「復活の儀式」うんぬんは他に任せるとして、弁護団の人数の多さです。従来、殺したのが一人なら無期懲役どまり、三人殺せばほぼ死刑、二人の場合は事情による、というのが量刑相場でした。しかし、二審の無期懲役を量刑不当として上告したのが検察側で、最高裁もそれを門前払いせずに差し戻しました。二人でも死刑へと相場を動かそうとするプレーヤーと、ともかくそれを防ぐのが大前提で事実審の中身なんて二の次のプレーヤー(弁護団)。ゲームの傍観者たらざるを得ない遺族が裁判の被害者という感じがしました。
さて、いったん酒を止めたアルコール依存症者が、もう一度酒を飲むためには「準備作業」が欠かせません。その準備の内容とは。
まず、AAメンバーならミーティング(断酒会なら例会)に行かなくなります。毎日あるいは週何回でも自分のペースで出席を続けていれば、そうそう酒を飲むことはできません。中には毎日出ていても飲んでしまう人もいますが、そういうひとは「まだ酒が止まっていなかった」という別カテゴリに入れることにしましょう。
通わなくなると、やがて頭が狂気に支配され、「一杯だけなら飲んでも大丈夫だろう」とか「今度こそ失敗しない」とか「もうどうだっていい、考えるのが面倒くさくなった」などと言い訳をしながら飲み出してしまいます。その瞬間に「ちょっと待て、正気に戻れ」とブレーキをかけてくれる存在からは、自分から遠ざかっているわけです。ミーティングに通い続けていては酒を飲めないから、酒を飲むためにミーティングから遠ざかるのです。これが「再飲酒の準備作業」です。
アルコール依存症は「ブレーキの壊れたダンプカーが坂の上に駐めてある」と形容されます。坂道を下りだしてしまったら、もうなにか(トラブル)にぶつかるまで飲酒は止まりません。断酒会とかAAという自助グループは、このダンプカーに輪留めをしてくれます。つまり正気を保ってくれるわけです。だから、飲むためにまずこの輪留めをはずす作業からとりかかります。
再飲酒から生還した人が、AAに戻って「スリップ(再飲酒)していたので、ミーティングに来れませんでした」と言うことがあります。もちろんこれは因果関係が逆で、ミーティングに来ないのが原因で、スリップが結果です。仕事だとか何とか、いろいろ理由をつけてミーティングの頻度が減ってきたら、この人はそろそろ飲みたくなってきたんだなぁ、と周囲は思うわけです。
通いながらも飲んでしまうのは、まだ酒が止まっていなかっただけなので「再」飲酒(スリップ)と呼ぶのは適切ではないと思います。
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