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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年06月28日(木) ゲーム中毒 僕が大学生の頃は、ゲームアーケード(ゲームセンター)は24時間営業という店も珍しくありませんでした。風俗営業法の改正で、深夜12時以降の営業が禁止され、都条例などで午後6時以降は小中学生の入店が禁止され・・とだんだん厳しくなってゆきました。ただ、その意図するところはゲーム中毒の予防ではなく、子供が夜どおし遊んじゃうような風俗びん乱の防止でした。
当時は初代ファミコンが流行りだした時期でしたし、パソコンのゲームも表現力が上がってきた頃で、ゲームにはまり出す人間も珍しくありませんでした。今日みたいな暑いある日、学生会館で「今週は暑い日ばかりだったね」という会話を交わしていたら、後輩が「え?そうだったんですか?」と真顔で聞いてきました。
僕は当時はまったく料理をしませんでしたし、洗濯も入浴も銭湯に行く必要がありましたから、何にはまりこんでいても外出しない生活を一週間も続けることはできませんでした。ところが彼の場合、風呂付きのアパートに洗濯機と冷蔵庫という恵まれた環境に加え、自分で料理する「まめ」さがあったために、一週間外に出ずにゲームにどっぷりはまりこむことが可能になり、おまけに部屋は冷暖房完備なので、外が暑いか寒いかも気にならなかったという事情です。
おたくというのは、自分がどんなに並はずれてバカで極端に走るかを自慢する部分があるので、当時はそんな話も「良くある話」と気にとめませんでした。そのうち僕もアルコールにどっぷりはまりこんでしまい、何週間も(時には何ヶ月も)風呂に行かない生活をすることになります。もっとも、アル中の場合には定期的に酒を調達する必要があるので、外出しないってわけにもいきません。
昨今、ネット依存症あるいは、コンピューター依存症などという言葉ができていますが、もっとも中毒性を感じさせるのはオンラインゲームです。
ゲームの仮想世界の中の登場人物が、コンピューターの繰る幻影などではなく、意志を持った別のプレイヤーであるとき、しかもそれが退屈な現実ではなく剣と魔法、あるいは宇宙船を得物に戦う世界であるとき。化粧や服では大して変化のない自分の外見を、自由に美しくも醜くもできるとき、リアル世界での経歴や境遇や性別や経済状態から離れて、なりたい自分を演じられるとき・・・人はこちら側に帰ってくるのが本当に嫌になるようです。
人と協力したり敵対したり、友達になったり裏切ったり、愛し合ったり別れたり、そんなことは現実世界でやればいいことだと思うのですが。
アメリカ精神医学会の精神疾患分類(DSM)にネット中毒(あるいはゲーム中毒)を追加しようとする動きがあるようです。
DSMではいろいろな「依存症」が別々のところに分類されています。アルコールや薬物は「薬物依存(Substance Dependence)」という大分類。食べる関係は摂食障害(Eating Disorders)という大分類です。
その他の依存症は「他のどこにも分類されない衝動制御の障害」という大分類に入れられています。この中にある項目を挙げてみると、間欠性爆発性障害(いわゆる暴力癖)、窃盗癖、放火癖、病的賭博、抜毛癖、特定不能とあります。おそらく買い物依存は特定不能に分類されてきたのでしょう。ゲーム中毒はここに新たな項目として加えることになりそうです。
わざわざそれを新しい項目にする意図は、診断基準をはっきりさせて病名として確立することで、医療保険の支払いが確実に行われるようにしたいという願いであるようです。
ちなみにDSMには、hoism(中毒)とか addiction という言葉は出てきません。
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