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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年06月25日(月) ナルトレキソン 3年ほど前でしたか、アメリカでナルトレキソン(Naltrexone)というアルコール依存症の治療薬が、FDAの承認を得たというニュースがありました。商品名Trexan。地検前の実験では効果的という結果が出ていたので、ついに飲む依存症治療薬の登場かと(一部で)騒がれたのですが、人間に対する治験の結果は芳しくなかったようです。
アルコール依存症者を二群に分け、片方にはナルトレキソンを、もう一方には偽薬を投与してみたところ、結果に差はなかったと報じられていました。ちなみに、両群ともAAに通うという条件であります。
もとは薬物依存の治療薬のようで、オピオイド拮抗薬です。素人ながら解説すると、脳の中のアヘン受容体にアヘンより先にくっついてしまうので、後からアヘンが入ってきても受容体にくっつかないので「気持ちよくならない」という仕組みです。気持ちよくならないので麻薬を使う気が失せるわけで、酔いたい願望が消える薬というのは誤解でしょう。アルコール依存に対する作用は解明されていませんが、基本は「酒を飲んでも気持ちよくならない」ということにつきるようです。
あなたは酔わない酒が好きでしょうか?
酔えなくても酒が飲めるなら満足するというのなら、ノン・アルコール(低アルコール)のビールを飲んで満足できるはずです。でも、あんなもので満足できるはずもなく、かえってアルコール入りのビールが飲みたくなって、再飲酒の引き金になったという話しか聞きません(僕も経験あります)。
国破れてサンガリアあたりから、子供向けの清酒っぽいジュースとか、ワインぽいジュースとか出てますから、試してみればいいでしょう。スリップしても知りませんけど。
もう一つは、人間の場合は動物実験と違って知能が働くため、「この薬を飲んでるから酔えないんだ」と知っていれば、ナルトレキソンを飲まずに酔っぱらうほうを選ぶのは簡単だからです。これは、シアナミドやジスルフィラム(商品名はシアナマイド、ノックビン)という抗酒剤の服用と同じことが起きるでしょう。。
とは言え、「気持ちよくならない」という効果は他の依存症でも効果は発揮して、性依存症に使うと性衝動が抑えられたり、ニコチン依存に使うと禁煙後の肥満が予防できたり、はたまたネット依存症に効果があったとか・・・。
アルコールでも、前向きに断酒しようとする人であれば、初期のスリップがひどくならないという効果ぐらいはありそうな予感はします。
自主的に飲んでくれない重篤な依存症患者には、ナルトレキソンを体内に12週間分インプラントする治療法もできたみたいです。
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