心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年06月14日(木) 確かな何か

『信じるようになった』という本をときどき読みます。ちょっとずつですけど。
AAメンバーがそれぞれの Higher Power を信じるに至った経験が分かち合われている本です。最初はこれを読んだときには、結構ムカムカしたものです。当時僕は、「自分のハイヤー・パワーを探したい」と言っていたにも関わらず、やっぱり感じたのは反発でした。

AAが始まって2〜3年後に書かれた『アルコホーリクス・アノニマス』という本があって、その名前(AA)がこの共同体の名前になったわけです。アノニマスというのは「名も無い」つまり有名でない、アルコホーリクスは以前の言葉では「アルコール中毒者」という意味です。

この本はAAメンバーが100人を超えた頃に、その100人の経験を集めて書かれたものとされています。そしてその本の中にはひんぱんに「神」という言葉が出てきます。英語では God です(先頭大文字ね)。Lord というキリスト教で言うところの「我が主」という言葉は一度も出てきません。そのかわり Creator 「創造主」という言葉もずいぶん出てきます。

この本がAAの基本テキストなんですが、これを読んでいると「最初の100人というのは、ずいぶんと宗教的な人たちだったんだろうな」という感じがします。

しかし当時のことを書いた文章によれば、その100人は大部分が「無神論者」、つまり神様なんかいるわけがないという信念を持った人たちでした。宗教なんかくそ食らえという人たちでした。ですが、その人たちも、また『信じるようになった』に文章を書いた人たちも、また現在のAAの人たちも、決して「宗教的に改心させられた」わけではありません。

自分が好きなものを選び取って信じるようになった、というか、もともと持っていたのに捨て去ってしまったものを、再び手にしたという感じなのかもしれません。子供の頃を思い出してみれば、大人の思惑なんかに左右されない、確かな何かがあって欲しいと感じていたのではないでしょうか。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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