ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」
たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
もくじ|過去へ|未来へ
2007年05月29日(火) だから僕も許して AAの仲間は許さなければならない、と言います。
鼻で笑われようが、頭をひっぱたかれようが、陰口をたたかれようが、デマを流されようが、金を返してくれなかろうが、秘密をバラされようが、ともかく許さねばならないと言います。
なぜ許さなければならないのか、AAの仲間だからです。
許さないのは憎んでいるということです。憎んでいる相手と一緒の空間にいてリラックスできる人はいないでしょう。むしろどっと疲れて、嫌な気分になります。同じミーティングに参加する仲間を恨んでしまえば、ミーティングに行くのが嫌になります。嫌になれば行かなくなるし、行かなくなれば飲んでしまうし、飲んでしまえば死んでしまうのです。憎しみはAAメンバーを殺すのです。嘘だと思うなら、試してみればよろしい。
憎んでいないと強がってみても、相手を強烈に意識している行動に嘘はつけません。相手に弱みを見せないよう、いつも緊張してないといけません。相手を避けようとすれば、自分の行動範囲が自然に狭くなり、この地上で安心できる場所がどんどん減って、最後は部屋にこもって酒でも飲むしかなくなります。
避けたところで、相手はこの世から消えてくれません。
だから許すしかありません。
何もAAに限りませんね。仕事で言えば、同じ職場の人でも、取引先の人でも、憎んでしまえば、その人と一緒にいるのが苦痛になり、仕事が嫌になります。家庭でも、家族の誰かを嫌ってしまえば、家にいるのが苦痛になります。自分で自分を生きづらくしているだけなのに、そういう人に限って「自分以外の誰か」を悪者にしたがります。
人に限らず、社会的なしきたりや制度も、憎しみの対象になり得ます。たとえば会社組織そのものとか、借りた金は返すという契約とか、田舎の濃密な人間関係とか、精神病院とか。そのことを思い出すたびに、心の平和はなくなってしまいます。その人に言わせれば「正当な怒り」なんでしょうけど。
ステップ4で作る表には、この憎んでいる(怒っている)相手や仕組みを書いていきます。相手が人間であれば「この人と二人きりになったら落ち着かない」という名前をリストアップしていけば、まず間違いありません。制度であれば逃れたいと思うもの。ともかくそれをやれば、いろんなことを憎んで、いろんな場所を居心地悪くしている張本人は、他ならぬ自分自身だということが、少しは分かるはずです。
じゃあそれをどうするかは、あとのステップの話です。
「最近どこそこの掲示板の居心地が悪い」という話も聞きますが、掲示板というのはニュートラルなものです。単にそこの誰かを憎むか嫌うかすることで、居心地悪く感じるように自分をし向けているだけなんです。
ほんとに相手が悪いと思うなら、そういう人に近寄らない方がいいのですが、わざわざ近寄るのは自傷行為か恋でしょうね。
もくじ|過去へ|未来へ