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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年05月21日(月) 達しない欲求不満 たばこ、最初に吸ったときは、目の前が真っ暗になりました。
その次は煙いばかり。
やがて慣れてくると、吸うたびに軽い酩酊感を味わえるようになりました。
「多くの者は、その酩酊感が消えても吸い続ける」と、ラリー・ニーヴンの小説に書いてありましたが、僕もその通りになりました。
たばこでも、お酒でも、覚醒剤や麻薬でも、結構苦労して修行を積まないと「本物の依存症者」にはなれんのです。
あなたも、お酒でうまく酔えるようになるまでは、飲み方とか、時間とか、酒の種類とか、いろいろ試行錯誤や工夫をした時期があったんじゃないですか?
依存症にならず、酒をコントロールしながら楽しんでいる人でも、時には失敗して翌日の夕方までひどい二日酔いに苦しんだりします。うまく酔うのは難しいものです。
飲み続けていると、同じだけ酔うのに、よりたくさんの量が必要になります。酒が強くなったと形容されますが、その実はアルコールに対する感受性が弱くなっているだけです。この「耐性の強化」が進行するのも依存症の特徴です。望ましい酔い心地に達するまでには、よりたくさんの酒を飲まなければならなくなります。気持ちよくならなければ「飲み足りない」と感じるようになります。
しかし(脳を含めた)身体が受け付けられる酒の量には限度ってものがあり、いずれ大量飲酒による不快な症状が出てきます。たとえば、血中のアルコール濃度が上がりすぎれば、脳は覚醒していられなくなって意識を失います。つまり、酔いつぶれてしまうわけです。もうちょっと飲んでいたかったのに、気がついたら翌朝になっていて、ひどい二日酔いという経験はありませんか?
前の晩に気持ちよく酔えなかった欲求不満から、よし今夜こそは気持ちよく飲んでやろうと・・・そうやって毎晩大量に飲むわけです。晩まで待てなくなれば、連続飲酒の始まりです。
たくさん飲んでいても、実はアル中さんはちっとも気持ちよく酔えていません。薬物依存で言うところの「グッド・トリップ」は、アルコール依存でも病気の進行とともに極端に減ります。たまにしか出ない当たりを求めている点では、ギャンブル依存と似ているかも知れません。
たばこを何本吸っても酩酊感が得られなくなっても、人はなぜかたばこを吸い続けます。なぜかじゃなくて、同じ理屈ですね。
(タイトルが少々下品になったことをお詫びします)
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