心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年05月19日(土) 喪失

書こうか書くまいか迷ったのですが、いいや書いてしまえ。

手が冷たいからうつだとは限りませんが、うつ状態の人の手はたいてい冷たいんだそうです。握手をするとわかるという話です。

今日のAAミーティングの間、自分の手が冷たいなと感じていました。帰り道の車の中で、でも手が冷たいのは痩せたせいかもしれないと思い直しました。恐竜が巨大化したのは、体熱を保つためだそうです。サイズが2倍になれば、体重は三乗で8倍になりますが、表面積は二乗で4倍にしかなりません。体の内部で生まれる熱の量が体重に比例し、体から逃げる熱が表面積に比例するならば、体が大きい方が暖かく(暑く)なります。逆に痩せれば寒くなるとも言えます。しかし、痩せても指は縮まらないから、指の重さは二乗則か・・。

などと考えながら、夜12時までやっているディスカウントストアの駐車場に車を駐めました。今日はバースディミーティングをして頂いたので、いくつかプレゼントももらいました。でも、自分にご褒美をあげなくちゃね、というわけです。

車を駐めて気がつきました。「花の匂いがしない」。プレゼントの中には、グループの皆がお金を出し合って買ってくれた花束もあります。それを車に積んで数十分走ってきたのだから、当然花の匂いがするはずです。
でも、助手席にも後部座席にも荷室にも花束は載っていませんでした。

教会の駐車場で、自分の車に乗り込むとき、手に荷物がいっぱいだったので、花束を車の屋根の上に置いたのでした。そして、そのまま忘れて走り出してしまったわけです。僕はたまにこれをやります。屋根に乗せた荷物はいつまでも屋根にはいません。車と行動をともにしてくれるのは、せいぜい十数メートルです。せめて駐車場に落ちていてくれたら・・・。

高速道路を1x0Km/hで走って教会まで戻りました。前の道に花束が落ちているのはすぐに気がつきました。通る車がそれを避けて走るからです。でも、通りの多い道です。すでに何台の車が花束の上を通過したのか、それは悲しいほど平べったくなっていました。幼いある日、実家の裏で工事があり、前の狭い道をダンプカーが行き来していました。少年の僕はコンクリート舗装の上に、するめのように平べったくなった猫の干物を発見しました。花束を見てそれを思い出しました。道には花びらが散乱し、車が巻き上げられてさらに散らかりつつありました。花束の残骸を拾うのは胸が詰まる思いでした。

このように僕は、せっかくの人の好意を、つまらない不注意で無にしてしまうのです。つくづく、一人では生きていけない人間だと思います。

帰宅する頃には日付が変わり、ショートケーキを待っていた子供たちはもう布団の中でした。

これを書き終えたら、すこし手が温まってきました。ありがとう。ごめんなさい。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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