心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年04月27日(金) 病気とは(異常と正常の間)その3

町沢静夫という精神科医が、こんな話を書いています。

ある時診察室を老夫婦が訪れます。奥さんの方が体の病気になってしまい、それがショックで食事が取れなくなり、寝込んでしまいました。看護をする旦那さんも大変で、眠れなくなりました。それで二人そろって精神科医にかかったわけです。
奥さんの方はうつ病と診断されます。医者が旦那さんに「あなたも眠れなくて大変ですね」と声をかけると、ご老人は「私には特別な力があるから大丈夫です」と答えます。
医者は不思議に思って「それはどういうことですか?」と尋ねると、返事はなんと「地下から私にしか聞こえない電波がやってくるんです。その電波の命令に従っていけば楽なものです」と答えます。
旦那さんは妄想型の統合失調症だったのです。

しかも、30年前の発症からそれまで治療しないままだったのです。その間も職業人として働き、3人の子供を成人まで育てていました。妄想を伴った現実と折り合って生きてこれたわけです。統合失調症の医学モデルにはぴったり当てはまるものの、医者は治療の必要がないと判断します。
なぜなら、立派に社会生活が送ってこれたのだし、本人が苦しんでいないからです。

精神科領域の病気では、本人や周囲が困っているか、いないか。それが大事になります。最初に挙げた緑内障のような病気には、数値化したり、図解できる指標がありました。でも、精神科ではそうした指標はあまりありません。

MMPI(ミネソタ多面的人格目録検査)という検査があります。550問の質問に「当てはまる・当てはまらない・どちらともいえない」で答えるやつです。入院経験のある人は、パソコン相手にこの検査をやったことがあるかもしれません。途中で「自分は神だと思う」という質問が何度も出てくる、あれです。
この検査は、人間の精神のいろんな領域を数値化してくれますが、あまり流行っているようにも思えません。僕は自分の結果を見せてもらいましたが、それで何が判断できるのかはさっぱり分かりませんでした。

じゃあ、精神科医は「誰かが苦しんでいるか」だけを尺度に、診察室で患者を相手にしているのか・・・もちろんそんなことはないそうです。医者は何を頼りに診断し、治療をしているのでしょうか。

(さらに続く)


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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