心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年03月12日(月) ホリゾン

妻は大学病院に通って、たくさん薬をもらってきます。白いプラスチックバッグ(スーパーでくれる袋と同じヤツ)を2〜3袋かかえて帰ってきます。病院の中で婦人科やら精神科やらはしごしていると、薬が増えてしまうようです。

というわけで、我が家には精神安定剤も眠剤も、売るほどあります(売らないよ)。僕はオーバードーズしたくなれば、いつでも出来る環境の中で暮らしているのです。

最近うつが酷くて眠りが浅く、仕事の効率が落ちています。がんばればがんばるほど効率が悪くなり、うつも悪くなっていく悪循環です。頭痛もするし、目も痛みます。肩や腰も痛み、手足は血行が悪くなって冷たいままです。
僕も眠剤を処方されているので、もっとぐっすり眠れる薬に変えてもらってもいいのですが、そうすると朝起きられなくなったりします。
季節が変わるのを待つように、うつが軽くなるのを待つしかありません。

ふと見ると、妻の薬がテーブルの上に出しっぱなしでした。ホリゾンと書いてあります。ホリゾンを調べてみると、成分名はジアゼパム。抗不安剤、精神安定剤です。
ジアゼパムというと、むかしセルシン錠にお世話になったことがあります。5mg錠を朝昼晩寝る前と一日に合計20mg処方されていた時期もありました。数時間おきに、セルシン飲みながら暮らしていたわけです。そのとき、眠くなったり、気持ち悪くなった記憶もありません。逆に「大して効かない」という感じも受けました。

たいした効果はなさそうだけど、5mgを一錠もらって飲んでみるかと、手を出しました。

服用数分後、背中がぞわぞわし、気がつくとパソコンの前の椅子に座ったまま寝ていました。布団を引いて、5時間ほど寝たのですが、体がだるくて仕方ありませんでした。不安が少し取れて気持ちよくなるかと期待したのですが、結果は気持ちの悪い眠りを数時間もらっただけで、翌日はさらに調子が悪くなりました。

思い出してみれば、セルシンを飲んでいたころは、酒を飲んでいたころと重なります。酒といい、薬といい、体がダウナー漬けだったわけで、マイナートランキライザーの効果が感じられなかったのもうなずけます。
そういえば、以前母が内科医から安定剤を処方された時に、だるくて気持ち悪く寝ていただけだったと言っていました。それが普通の感覚なのかもしれません。自分では、うつの苦しさは減っていないように感じていても、医者が「安定剤も、よく眠れる薬も不要」と判断するだけの改善は、知らずのうちに積み重なったのでしょうか。

さて、ちょっと出来心で薬に手を出してみたけれど、気持ち良くならなかったから、僕はハマらない、大丈夫! という自信は持たないように気をつける必要があります。

思い出してみていただきたいのです。

初めて吸ったタバコは、ただ煙いだけじゃなかったですか? でも、今はわざわざ喫煙室にでかけて吸うほどハマっていませんか?
初めて飲んだコーヒーは苦いだけ、日本茶や紅茶も渋いだけ、でも今は「お茶やコーヒーの代わりに」白湯が出てきたら、物足りなく思いませんか?
初めて飲んだビールは苦いだけだったのでは? 日本酒は臭く、ウィスキーは咳き込むほど刺激が強すぎだったのでは? そして、気持ち悪く、頭痛くなりませんでした? ところが、何年か後には、おもいっきりハマっていませんでしたか?
覚醒剤だったら、最初から気持ちよくなるだろうって? あれは、ヤったあとセックスするのが気持ちいいのだそうです。

みんな、気持ちよくないものを、苦労してトレーニングして、依存していくのです。セックスやギャンブルもそうかもしれません。人間の行動は不思議です。だから、薬も気をつけることにします。

壊れているなら修理(薬)も要るかも知れませんが、「壊れていないものは修理しない」のが原則。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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