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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年02月06日(火) 頭のおかしい人は 今ではそんな言葉は聞きませんが、昔は「頭のおかしい人は、自分の頭がおかしいとは認めない」という俗説がありました。
つまり、精神を病んでいる人は、自分の精神が病んでいることを認めたがらない、というのであります。
精神病院に入院してみると、その俗説は嘘だと分かります。ほとんどの入院患者が、自分が鍵のかかる病院の中にいる理由は理解しています。それは楽しくない現実なのですが、すぐにそれを解消するめども立たないので、直接その事実を見つめずに、ちょっと目をそらして生きている、ってところでしょうか。
うつ病の人は、あまり病識がないと言います。心が苦しいのは認めますが、自分は怠け者になってしまった。もっとがんばらなくちゃいけないのに、がんばれない。皆に迷惑をかけて申し訳ない、などと言います。自分がもっとがんばりさえすれば、事態は解決すると思っているので、薬も熱心には飲みたがりません。
うつになる生き方を自分で選んで来たから、今うつになっている事実を認めないと、元気になっても、いずれぶり返してしまいます。
原因はストレスかも知れませんが、同じストレスを受けても、うつになる人・ならない人がいます。うつになりやすい体質を「ハンディキャップ」と呼べば大げさかも知れませんが、本質は同じであります。
アル中さんも、自分の精神が病んでいるとは考えたがりません。
三大否認てやつがあります。
1.自分は、アルコール中毒ではない(だから酒をやめる必要はない)。
2.(自分はアルコール中毒かも知れないし、酒をやめなければならないかも知れないが)自分で酒はやめられるから、誰の助けも要らない。一人でやめられる。
3.(自分が酒をやめるのに、何かの助けが必要なのかも知れないが)酒さえ止まれば自分は正常であり、酒以外の問題は抱えていない。
「酒以外の問題」ということであれば、アル中以外の人も抱えていることでもあり、そういう人たちが特別な努力無く生きていくなら、自分にも特別な努力は必要ない・・・と考えるのは自己欺瞞です。
だって、アル中以外の人は、酒を飲んだら病気がぶり返して社会生活中断、というハンディキャップは抱えていないんですから、同等に考えるのがおかしいんです。体質も、考え型の歪みも、やめただけじゃ治らんのです。
否認は自分では気付きにくいですが、他の人の否認は分かりやすいものです。「頭のおかしい人は、自分の頭がおかしいとは認めない」とは、アル中を示して言われた言葉かも知れませんね。
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