心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2006年09月12日(火) 孤独な病気

昨日の Murder is Murder ですが、書いた後で Killer is Killer だったかもしれないと思い出しました。

福祉事務所のケースワーカーの話として伝わってるものがあります。
アパートで孤独死をする人がいます。その現場に行ってみると、ほぼ必ず酒瓶がころがっているんだそうです。
別にアルコール依存症と決まったわけでもありません。けれど孤独死と酒瓶はセットなんだそうです。

一般にはアルコールが孤独をいやしてくれると考えられているのでしょうか。
現実生活の憂さをアルコールが晴らしてくれるのは確かです。ただし、アルコール依存症になる人は、その開放感が普通より強いという仮説があります。飲んだときの開放感がたまらないから、もっと多くの酒を飲みたくなり、そしてやがて依存症になるという説です。酒を飲んでもあんまり気持ちよくならない人は、依存症にはなりにくいわけです。まあ、そういう相性はアルコール以外のもの全般にあてはまるのでしょうけれど。

どうして人より開放感が強いのかについては、より強いストレスを受けている場合と、ストレスが強くなくてもストレス解消が下手な場合が挙げられていました。自分を振り返ってみると、僕は高ストレス下にあるから酒で癒すことが必要なんだと自分に言い聞かせていましたが、単にストレス解消が下手だったのに過ぎないのでしょう。

人口の2割ぐらいがアル中だったら、飲んでいたころの自分もそれほど孤独や不安を感じなくて済んだのかも知れません。でも実際には、アル中は高校の同級生に一人いるかいないかぐらいの率です(計算いい加減です)。

飲み過ぎてしまう自分の弱さを理解できる人間なんていないと思っていました。どこへ相談すればいいかも知りませんでした。いや、実際には相談先はいっぱいあったはずです。命の電話で病院やAAを紹介されたという仲間もいました。ともかく104へ電話して、最後はJSOの番号にたどり着いたというツワモノもいました。でも僕は、自分の悩みはどうせ誰にも理解できないだろうと、決めてかかっていたのです。

そうやって、僕も孤独と酒瓶をセットにして抱え込んでいたのでした。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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