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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年07月30日(金) 病める者は幸いである 94年2月から始まった僕のサラリーマン人生は、今日とりあえずピリオドを打ちました。
明日からもう人に面会する約束が入っており、これから二日にいっぺんぐらいは人と会う予定になっています。「技術者全員揃って来るなら、金を出してやるから会社を作れ」と言ってくれる奇特な人物も現れたりしています。でも、どこかの会社の子会社の役員をやるなんて、まっぴら御免という気持ちです。もし僕が社長をやるなら、社員は僕一人という会社になるでしょう。まあ、ともかく未来はさっぱり見えてきません。
「今は、社長になりたがる人の少ない時代だ」とある商社の人が言っていました。十年・二十年前であったなら、社長になりたがる人はもっと多かったと言いたいのでしょう。「失われた十年間」が日本の社会を変えてしまったのでしょうか。
最近で、威勢のいい言葉を聞けたのはライブドアの社長の発言ぐらいで、あとは社長といえば頭を下げている姿のほうがニュースなんかでは目立ちます。なんか、社長って損な役回りと受け取られても仕方ありませんね。
「ふつう会社がつぶれる時というのは、たいてい音沙汰なくて、銀行から電話がかかってきて知るのが毎度のパターンです。そして、駆けつけてみると会社が閉まっていて誰も入れないもんです。ここの社長のように、自分から電話を下さって、面会して事情を聞けるとは、まったく誠実なお人ですね」
などと何回か言われました。そういう時は、
「そういう人柄を慕って私どもも付き従って参りましたので、今回は本当に残念です」とか言っておきました。
確かに社長は誠実になりました。それは彼が元から持っていた性質なのでしょうが、健康が取り柄で、健康自慢をしていた頃には、それは影を潜めていたようです(人情深いところは今も昔も変りませんが)。脳腫瘍という病を経て、手術の結果記憶に障害を負うことになって、悩み苦しまなかったはずがありません。でもその結果、誠実さという徳を得たといっても過言ではないでしょう。それと事業の成功とは両立しなかったのですけど。
「毎日が夏休み」という状態になるのかと思ったら、割とやることがある日々がまっていました。どうやら神様は、僕をヒマにさせておいてはくれないようです。
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