心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年07月27日(火) ある作家の死

アル中が死んだ記事 が出ていました。

最初にこの人の存在を知ったのは、おそらく朝日新聞での連載記事が最初だったと思います。それから10年後ぐらいの1994年、文庫化された『今夜すべてのバーで』に出会いました。ちょうど運転免許を取ったころです。
その内容に、共感を覚えるとともに嘲笑し、回復への期待を持つとともに絶望も知りました。自分がそのような難病に罹っていると知るのは怖いことでした。そして、その年に2回目の精神病院への入院を果たします。そこで「もう一人のアル中」と初めて出会いました。そしてその人は、その本の内容を「よく書いてある。でも実際のアル中は、こんなきれい事じゃないよ」と言いました。
また、その人はAAに参加したことがあり、それは「アル中の○○です」と名乗るものの、アル中を名乗る決まりはなく、神という言葉が出てくるが宗教ではないので何かを信じるわけでもなく、黄色い本を読み、順番に話すものの話したくなければ話さないでいいし、名前を名乗るのも名乗らないのも自由で、遅れてきても早く帰ってもいいのだと、伝えてくれました。
そしてその8ヵ月後、僕は生まれて初めて、実際のAAミーティングに出席したのでした。

その後、AA仲間に薦められて読んだ『水に似た感情』では、双極性躁うつ病の感情に触れました。『ガダラの豚』はエキサイティングで面白かったです。酒を止めたという話が雑誌に載ったり、また飲んでいるという話が別の雑誌に載ったり・・・。

階段から転げ落ちて死んでしまうとは、なんともこの病気らしい結末です。52歳という年齢もこの病気らしいです。彼は僕の人生を変えるきっかけを作ってくれましたが、彼自身は人生を変えるきっかけを掴めなかったのかもしれないし、掴みたくなかったのかもしれません。

多くの人たちがたどる道を、彼もまた辿って行ったということです。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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