心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年06月02日(水) Seeks to control the uncontrollable

大坪家の書庫 のオーナーが書かれている文章の中には、含蓄に富んだ名言がたくさん引用されています。
孫引きなるのを恐れずに引くと、「危機ではなく、幻想の終わりに過ぎない」という言葉が好きです。

現在危機に陥ったのではなく、いままで安全だと思っていたのが幻想だったのだと。
アル中になってしまったのではなく、とっくの昔になっていたのに、自分は違うと信じていた、とか。いよいよミーティングに通わないと酒が止まらなくなってしまったのではなく、いままで自分の力でやめられると信じていたのが間違いだった、とか。
BOX-916の請求額が倍でびっくりしたのだが、実は先月分を払ってなかったのであった(ちょっと違うか)。
ボーナスが出ないという危機ではなくて、いままでひょっとしたらという期待が幻想だった、とか。

今日は昨日と同じような日であり、明日も多分そうは変わらない・・・と思っていても、ある日突然の変化が訪れます。でもそれは少なくとも「突然」じゃなくて、そんなことは起きないという幻想を持っていただけの話です。
AAが永遠に続いていくという感覚も幻想です。僕はいくつかのグループが消滅するのを見てきました。それはそのグループにハイヤー・パワーがいなかったからでしょうか?

翻訳をしていたら、Seeks to control the uncontrollable という文章にあたりました。
コントロールできないものへの制御を捜し求める。
無意識のうちにコントロールしようと懸命の努力をしていた自分です。いや、コントロールできていると信じたかっただけなのかもしれません。コントロールしているという意識すらしていませんでした。
僕は主導権を手放しました。

心は充足されていますが、どこかにぽっかり穴が空いた気分です。その穴には自我という名前がついているのかもしれませんし、違う名前がついているのかもしれません。

人はいつまでも同じではありません。くよくよしないで、今日の風に吹かれなさいと歌われていることであるし。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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