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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年05月30日(日) 考えて、考えて、考えた 来年の9月に福岡で、日本AAの30周年を祝う記念集会があります。それは関東も含めた全国評議会で決めたことです。現地の実行委員会では、それに近い時期のローカルイベントの開催を慎んで欲しいという要請を全国に出しました。
関東(甲信越)では、春秋にラウンドアップ(RU)という数百人規模のイベントを行っています。過去に周年記念集会が行われたときには、重なるRUは中止になっていたそうです。だから、来年の秋の関東のRUはやめたほうがいいという意見が出ていて、僕も役割上その意見に賛成でしたし、それが正しいことだと確信していました。
一方、やっぱり来年の秋もRUはやりたいという意見も根強くあります。そういう人たちの理由は、福岡まで行くにはお金がかかるから貧しい人は行けないし、まして生活保護の人々はどうなんだという話でした。でも、僕はそれだったら一回ぐらい我慢したっていいじゃないかと思っていたのです。それになんとなく建前っぽい感じがします。
今回の茨城のRUに参加したのは、どうしてそんなにRUが必要とされているのだろう? という理由が知りたかったからです。
ラウンドアップでは、ミーティングやワークショップが開かれています。でも規律に縛られないAAでは、それ以外のことをやっている人もたくさんいます。ただロビーに集まってしゃべっている人、ハイキングに行く人、ソフトボールをやる人、麻雀をやる人、ラッフルをやっている人・・・。僕は特定の誰かと一緒にいるのではなく、いろんな場所をうろつきまわりました。
初日のオープニングでは、九州から来た集会実行委員が「関東は九州に恨みでもあんのかよ」と訴えて大うけしていたそうです。
答えは最終日の「さよならセレモニー」の中にありました。各種のプログラムから一人ずつ、それに参加した人が感想を短くしゃべりました。ソフトボールの人の話はとても率直でした。「俺はソフトボールをやりにRUに来ている。ソフトボールのないRUには参加しないよ。みんなでソフトやるのがいいんだ」
もちろんミーティングに何かを見つけたと言う人もいました。でも、そんな人ばかりじゃありません。ずっと麻雀ばかりやっていた人もいました。ラッフルの運営にかかりきりの人もいました。仲間に囲まれて延々おしゃべりを楽しんでいた人もいました。
僕は一人に30周年集会についてどう思うか尋ねてみました。
「行くとしても、お義理の気持ちが強いと思う」
委員会では聞けない正直な話がここにありました。
家に帰って、疲れたので布団に横になって考えました。なかなかまとまらなかった考えが、急に一つにまとまりました。30周年集会にはソフトボールはたぶんないでしょう。麻雀もラッフルも、24時間仲間としゃべる部屋もないでしょう(一ヶ所に集中して宿泊しないから)。
彼らの求めているものは、来年のその日の福岡には用意されていないのです。彼らは30周年という「晴れがましさ」を求めているのとは違うのでしょう。彼らが必要としているものを奪うのは間違っているような気がしてきました。
だから僕はもう、来年秋のRU開催には反対しません。でも、30周年の晴れがましさは福岡に譲ってやって欲しいです。AAが始まったのは東京ですから、関東も30周年かもしれませんが、その「晴れがましさ」は彼らに譲ってやって欲しい。そうじゃないと、一生懸命やってる九州の人々があまりにかわいそうです。それを求める人は九州まで行けるでしょう。できるだけ日付は福岡とずらして、(30周年と言わず)普段どおりのラウンドアップをやるのが一番だと思いました。
正しいかどうかわかりませんが、僕の意見は変わりました。今回ラウンドアップに行って良かったと思っています。
実際にどうするのかは、今後委員会の人々が決めていくでしょう。
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