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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年05月03日(月) Raison 水族館の疲れが残る中、それでも峠を越えてミーティングに行ってきました。
そうやって自分のではないミーティング会場に通う理由は、単に「飲まないで生きる」だけという以上に、いろいろな理由が増えてきています。例えばAAの中においても、人間関係は「ギブ・アンド・テイク」であることを理解したのも理由です。
「与えられるよりは、与えることを」というほど純粋な理由で行動できればいいのでしょうが、残念なことに(?)僕は聖人ではありません。自分のグループのミーティングに来てもらえば、やっぱりその人のグループを訪れておきたくなるものです。「貰いっぱなし」というのは、なんとなく居心地が悪いし、怠慢を理由に人間関係が切れてしまって後悔する自分も嫌だからです。
それは悪く言えば「浮世のしがらみ」なのかもしれませんが、AAは別に俗世を離れて存在してる信仰の塔ではありません。まさに俗っぽいところです。
思えば、飲んでいた僕は「与えられること」ばかりを望んでいたし、「与えること」をしていたとしても、その裏にはそれ以上の見返りがあることを期待していました。超俗的な世界に自分が属することを望んでいながら、それ以前に俗世という地面に足を着けて立つことすらままなりませんでした。
疲れた身体を引きずってミーティングに通うと、一年目のころを思い出します。肝臓が悪かったせいか、いつでも身体が疲れてだるく、睡眠が安定しないせいで眠く、たいした仕事をしていないのに夕方には疲れ果てていました。
ミーティングの帰り道は、まぶたが閉じそうになるのをこらえて車を運転していました。そうまでしてミーティングに行く理由は、「薬を飲む」理由とよく似ていました。
今僕はSSRIという薬を飲んでいます。薬が効く理由は、それが脳内でセロトニンの再吸収が阻害する作用をするからです。でも、なぜセロトニンの再吸収を阻害すると、うつに効き目があるのかというのは、誰にも答えられない疑問であります。根源的な疑問は解決されないけれど、それでも僕はSSRIを飲んでいます。
ミーティングに通うと、なぜ飲まないで生きていけるのか、その理由を明確に説明してくれる人はいません。それでも僕はミーティングに行っています。
ミーティングに行く回数は以前より減りましたが、行く理由は以前より次第に増えています。
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