心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年04月07日(水) 「良くなる前には、いったん悪くなる必要がある」

地元紙に記事が載ったのを見かけたのでしょうか? もう少し規模の大きな新聞(全県紙)の報道部の人からオフィスに電話があったそうです。あいにく所長が不在で、用件はいろいろなルートを辿って僕のところへ転送されてきました。教えてもらった番号へこちらから電話してみたのですが、記者さんは忙しいようでなかなかつかまりません。
しかたないので、資料をそろえて郵送しておきました。それを見て、興味を持ってもらえるかどうか、記事になるのかどうか、その問題はもう僕の手を離れ、相手の問題です。
最初に掲げた目標は達成できているので、あまり欲をかかないことにします。

報道といえば、例えば「オレオレ詐欺」の報道が一時期目立ちました。手口自体は昔からあるもので、テレビ番組なんかでも取り上げられていたものです。それが増えた背景には長引く不況があったのでしょう。それに偽名の銀行口座もインターネットで簡単に変える時代です。

手口が報道されれば、自分にでもできるんじゃないかと思う人間も増えるのでしょう。事件報道によって事件が拡大再生産された可能性があります。でも、おかげでそういう手口が広く知られるようになって人々がだまされにくくなり、銀行の窓口でも年寄りが多額の振込みをしようとする場合には事情を聞くようになりました。最近では事件を聞くことも少なくなりました。
結局報道が社会システムの変化を促進したことになりますから、長い目で見れば良いほうへ変化したことになります。一時の悪化は必要なことだったのでしょう。

60年代から70年代にかけて、アルコールやドラッグがアメリカ社会を蝕んで、伝統的な家庭の価値観も崩れていきました。でもおかげで政府も動いたし、民間のアディクション治療も広まりました。
日本の社会は、アメリカ社会の10年か20年後を追いかけている、なんて言い方はもう廃れてしまいましたが、真実を突いていると思います。長い不況は終わりそうですが、今度は貧富の差が広がるだけのような気がします。社会がより競争的になると、ストレスのはけ口を物質やある種の行動に求める人は増えることでしょう。
こんな田舎ですら、バツと言われるドラッグが広まっているそうです。

病理に苦しめられる個々の事例に心が痛まないわけではありませんが、「良くなる前には、いったん悪くなる必要がある」と割り切るほかはありません
というか、そうとでも思わないと未来に期待が持てなくて、やってらんねーという感じです。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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