折り紙 - 2004年07月24日(土) 木曜日も電話をくれた。夜からナターシャ連れてロードアイランドに行くって。行く車の中からまた電話するよって言ってた。 夜中にマジェッドが来た。マジェッドとおしゃべりしてると電話が鳴った。マジェッドが来てるって言ったら、「こんな時間に? もう新しいボーイフレンドの用意が出来てるんだ」って言われた。笑いながら言ってたけど、いつもそういうこと笑いながら言うからほんとのところがわからない。「まだずっと運転してるでしょ? あとでまたかけるね」って電話を切った。マジェッドが「言わなきゃよかったのに」って言った。 昨日は仕事中に携帯にメッセージが入ってた。ものすごく暑いって。ナターシャとレイクにいるって。ここは一日雨だった。夜にこっちからかけた。 ふつうに、ふつうに、まるで何事もなかったみたいに、ふたりでおしゃべりしてるけど、なんとなくわたしは自分がいい子でいようとしてる気がする。デイビッドはこれから、借りて来た「sex and the city」のビデオを観るって言ってた。「ほんと好きなんだ」って言ったら「そうかもな」って笑ってた。わたしは好きじゃない。でもアレを観て、クレイジーでバカな女心を少し分かってくれればいいなんて思う。 わたしはこれから何をするのか聞くから、ピアノ弾くって答えた。ショパンの新しいワルツ。すごく気に入ってる。早くマスターしたい。あなたに聞かせてあげたいなって言いかけて口ごもったら、「なに? 言いなよ」って聞き返す。だからそう言った。「聞きに行くよ」ってデイビッドは言った。「そんなこと言って、うちになんかちっとも来てくれないじゃん」って前なら言ってた。昨日は言わなかった。 話したかったこと言い忘れた。 今日、ロジャーが「折り紙」の本を持って来てて、ポーリーンと3人で夢中になる。ロジャーは日本の文化がなぜか大好きで、いつもわたしにいろんなこと聞く。ロジャーの方がわたしよりよく知ってたりするんだけど。折り紙も、いつかロジャーは奇麗な薔薇の花を作ってくれた。見たことない、ほんとに奇麗な薔薇の折り紙で、「どこで覚えたの?」って驚いた。折り鶴なんかのレベルじゃない。幾重にも花びらがほころんでて、それも柔らかな曲線の花びらで、ふっくらと丸い立体の見事な薔薇だった。 ロジャーの「折り紙」の本は、いろんな種類の鳥とか怪獣とか動物とかの折り方が載ってて、どれもみんなそれはほんとに奇麗で、わたしは折り紙を誇りに思った。それをデイビッドに話したかった。 日本のこと聞かれるたびに、いいことは答えられなかった。いつも日本を否定してた。日本語教えて欲しいって言われても、拒絶し続けた。今は受け入れたいと思ってる。そして日本のいいところも日本の美しい文化も日本の言葉も、誇りに思って教えてあげたいと思ってる。そうしなきゃ克服出来ない。わたしのこの異常な「自分拒否症」。 デイビッドと過ごさない土曜日だった。 それは先週のはずで、先週ロードアイランド行きの予定をやめたデイビッドといつも通りにあって、そして「危機」が訪れた。予定通りにデイビッドがロードアイランドに行ってたらこんなことにはならなかったけど、これはやっぱり理由があってそうなったんだと思う。こんなことにはならなかったけど、わたしは自分の間違いに気づかないままだった。あのまま間違いが止まらなかった。神さまの計画。 夜、ロシア系さんを誘ってタンゴを踊りに行った。 ビレッジのダンス・スタジオのパーティに連れてってくれた。夜中の1時半まで踊って、ロシア系さんはわたしのダンスをちっとも劣ってないって褒めてくれた。ロシア系さんはものすごく上達してて、もうわたしはとうに追い越されてしまった。3時間も踊って、途中で膝が痛くて仕方なかったけど、ローラーブレイドと同じにそれを超えたら平気になった。 去年の夏、毎週のように日曜日の晩に一緒に出掛けたサウス・シー・ポートの外のタンゴにまた行きたいと思ったけど、ロシア系さんはあれからたくさんダンス友だちが出来て、もうわたしを誘わない。「明日僕は友だちと行くから、きみが来るなら僕はそこにいるよ」って言われた。まあいいかって思った。オスカーさんはあそこや今日みたいなパーティで踊れるほどまだ上手じゃないし、困ったけど。困った。週末にもうデイビッドと会わなくなった場合の過ごし方。 「明日も電話するよ」ってデイビッドは昨日言ってたのに、今日はかかってこなかった。携帯にもうちの電話にもメッセージはなかった。折り紙のこと、話したかった。 今、膝が痛い。踊り過ぎ。Dr.ローズに言ったら叱られるだろうな。 -
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