ピアノを弾きながら - 2004年07月21日(水) 仕事を終えて、急いで車を走らせる。 ジェニーはもううちのそばの公園まで来てて、公園沿いに車を停めて待ってるって電話がかかって来た。公園で一緒にローラーブレイドする約束だった。ジェニーの車を見つけてウインカーを出して止まったら、車からジェニーがブレイド履いて降りて来た。1ブロックもない距離を、ブレイド履いたジェニーを乗っけてうちまで帰る。ジェニーが着替えたいって言ったから。 ドアを開けたとたんにうちの電話が鳴った。 デイビッドだった。「How are you?」「Good!」。思わず元気な声を出す。デイビッドはあのアップステイトのレイクにナターシャと一緒にいた。ナターシャは元気に元気に走り回って、このあいだ一緒に行ったときお母さんに連れられて泳ぎに来てた小さな女の子が今日はお父さんと来てて、ナターシャと遊んでるって。 今ジェニーが来ててこれからローラーブレイドしに行くんだ、って言ったら、ちゃんと二―パッドもリストバッドもつけるんだよ、道路は危ないからブレイドは手に持ってって公園で履き替えな、靴はどこか見えないところに隠しておくんだよ盗られないように、大丈夫だよきみはもうきっと上手く出来るよ、でも転ぶときは手から転びなよ膝からじゃなくて、って相変わらずこういうときデイビッドはお父さんになる。 ジェニーがいたから長くは話せなかった。デイビッドは前とおんなじで、でもおんなじはずなくて、それでもおんなじふうにしゃべってくれて安心した。安心したけど、見えない心が不安になった。 公園まで自転車を押してった。もしもローラーブレイドがまだ出来ない場合にわたしはバイクすればいいから。オスカーが買って来てくれたマウンテン・バイクはまだ一度も使ってなかった。 6ヶ月ぶりのローラーブレイド。足がぐらぐらして最初は怖かった。ジェニーが手を引っ張ってくれて、ゆっくりゆっくり滑る。後ろから後ろからローラーブレイドの人が追い越してくから緊張する。少し走ったところでジェニーが「もう平気でしょ?」って手を離した。一周滑るあいだに膝が痛くなった。でもそれもそのうちなくなってった。出来る出来る。大丈夫じゃん。ロジャーは「まだやっちゃいけないよ。膝がまだ全然しっかりしてないんだから。たのむよ」って昨日本気になってわたしを止めたけど。 だけどどうも危なっかしく見えたらしくて、ベンチに座ってた男の人に「気をつけな」ってからかわれちゃった。「今日はこれだけ。いきなりたくさん滑ったら膝痛めるって」ってジェニーに言われて、3周回っておしまい。 ジェニーは公園から道路に降りる急な坂道を挑戦して、みごとに転んだ。お尻さすりながら、ジェニーは帰ってった。日曜日に教会終わってからまたやろうって約束して。それから月曜日も火曜日もって。 わたしは自転車でうちと公園の間のブロックを何回か走って、公園の外をぐるっと回ってから中に入って30分くらい乗ったあと、高台になった公園を降りて道路を渡ったところで自転車ごとひっくり返った。止まろうとして悪い方の足を地面につけてしまったから。膝から転んだ。怖かった。また折れるのかと思った。立ち上がったら膝がガクガクしてた。痛かったけど大丈夫だった。もう乗らないで、自転車を押しながらうちまで帰った。 それから昨日とおんなじように、ずっとずっとピアノを弾いてた。 ゆうべ、神さまが止めてくれたんだって気づいた。 ジーザスが大丈夫だっていつも言ってくれたのにわたしはちっちゃなことですぐに不安になって、それを確かめようとしては自分の欲しいまんまの答えばかり求めてた。ジーザスがいてくれるのをいいことに何を言っても平気ってタカをくくって、言いたいこと言ってしまってはそのままどんどんエスカレートしてった。ジーザスに甘えてた。 あまりに度が過ぎるわたしを、ジーザスが止めてくれたんだ。 そして今日、ピアノを弾きながら、ジーザスが抱き締めてくれるのを感じた。 ごめんなさい、ジーザス。 ごめんなさい、デイビッド。 -
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