無視 - 2004年05月30日(日) デイーナのところに行こうと思った。 わたしの中の悪魔を殺してもらいに。 金曜日。 朝になってやめた。 大丈夫。自分の力で殺せる。 そんな気がしたから。 デイビッドはパリから休暇に来てる従兄弟の従兄弟とそのガールフレンドをうちに招んで、ディナーパーティをする予定だった。弟のダニエルを入れて5人で食事をするはずだったのに、ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドと彼女の旦那さんも招んだってデイビッドは前日になって言った。 大丈夫。大丈夫。大丈夫。自分の力で悪魔を殺してみせる。ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドは ex-ガールフレンドと違って、結婚してるんだから。それでも腑に落ちないし、彼女の旦那さんとデイビッドが今じゃ親友ってのもふつうじゃないと思うけど。 デイビッドはパーティの時間より2時間早くわたしを招んで、一緒にパーティの準備したり河沿いの公園にナターシャ連れてお散歩に行ったりして過ごした。 パーティの時間になって従兄弟の従兄弟とそのガールフレンドがやって来て、それから少し遅れて ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドと旦那さんと、なぜか ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドの弟ってのも来た。 デイビッドは ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドのほっぺにキスして迎える。目を逸らしたかったけど、わたしはじっと見てた。悪魔を呼び出して殺すために。ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドの弟と ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドの旦那さんが、わたしの両頬にキスしてはじめましての挨拶をしてくれた。 ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドの弟はとても明るくて楽しい人だった。旦那さんは口数は少ないけどあったかくて優しくて穏やかな素敵な人だった。従兄弟の従兄弟もそのガールフレンドもとてもフレンドリーで、おしゃべりがはずんだ。最後にやって来たダニエルは相変わらずわたしの足を気づかってくれた。 ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドは、無視出来る程度にスタイルのいい奇麗な女の子だった。まるでフレンドリーじゃない彼女にわたしはときどきにっこり笑って、殆ど無視してた。弟も旦那さんも素敵な人なんだから、きっと彼女もいい子に違いない。だけどあんまりそうも思えなかったし、だからと言って嫌いだとも思わなかった。ネチネチしゃべる声が気持ち悪いとは思った。 帰るときに ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドの弟も旦那さんも、デイビッドの従兄弟の従兄弟もそのガールフレンドもダニエルも、またあったかいハグをくれた。そして、「足お大事にね」ってわたしに手を差し伸べた ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドに、わたしは思いっきり優しくハグして彼女のほっぺたに自分のほっぺたをくっつけた。殆どなんの気持ちもなく。大しておしゃべりもせず殆ど無視してたことを埋め合わせするくらいの気持ちはあったかもしれない。 みんなが帰って後片付けを一緒にしながら、デイビッドは ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドの弟と旦那さんのことを「いいやつらだろ?」ってわたしに言った。「うん。素敵な人だね、ふたりとも」ってわたしは答えて、デイビッドの従兄弟の従兄弟とそのガールフレンドのことも、とてもいい人たちで大好きだって付け加えた。ほんとのことだった。彼女のことを敢えて聞いてこないデイビッドの意図に気づかないふりして、ex-ex-ex-ex-ex- ガールフレンドのことはまるで存在しなかったみたいに無視した。 何か言い出すと、わたしの中の悪魔が暴れ出す。 だから、無視して無視して無視して、悪魔を抑える。 悪魔はそうやってじわじわ殺すしか方法がない。 多分上手く行った。 まだ半分も殺せてないと思うけど。 -
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