当たり前に - 2004年04月06日(火) チビたちが帰って来た。 お兄ちゃんチビは全身麻酔のせいで、まだヨロヨロしてる。ヨロヨロしながら、ときどきポテッと転んだりする。「麻酔のせいで食べたら戻しちゃうかもしれないから、今日は何も食べさないでね」ってアシスタントのスーザンに言われてた。だけど、いつもごはんを食べる場所にポテッと転びながらヨロヨロ歩いてくおなかペコペコの姿がなんか可哀想すぎて、カリカリごはんだけ少し器に入れて置いてやった。 そしたら、ごはんを食べようとするお兄ちゃんチビのところに妹チビが飛んでって、フーッて怒ってお兄ちゃんチビの顔を叩く。なんでなんで? お兄ちゃんがごはん食べちゃいけないこと、なんで知ってるんだろ。びっくりした。お兄ちゃんチビは諦めて、それでもまたヨロヨロごはんのところに歩いてく。するとまた妹チビが飛んでく。何度もそれを繰り返す。 遊びに来てくれてたディディーが妹チビのこと、「なんでケンカふっかけてんの?」ってわたしに聞く。違うんだよ。食べちゃダメって言ってんだよ。「なんであの子にそれがわかるの?」。だってお兄ちゃんチビは麻酔でぼーっとしてて何にもわかってないけど、あの子は麻酔してないでしょ? お兄ちゃんは食べちゃいけないって言われたことちゃんと聞いてたんだよ、お兄ちゃんの代わりに。そう言ってわたしは得意になる。それがホントだとすごいと思うけど、それしかない。 ゆうべは誰もいなくて、ほんとにほんとにひとりっきりで、チビたちのこと心配して眠れなかった。麻酔失敗されて目覚まさなかったらどうしよ、って、動かなくなったお兄ちゃんチビを迎えに行ってるとこ想像したら止まらなくなって、妹チビまでいなくなっちゃうことになって、ヒーヒーヒーヒーひとりで泣いてた。いつもいつもわたしの胸の上で眠る妹チビのちっちゃい体もあったかい毛も冷たく濡れた鼻の先も全部、ああそれまでなくなったらどうしよう、きっとわたしはもうベッドから起きられない、ごはんも食べないでお水も飲まないでこのまま死んで行くんだ、とか思って泣いた。あの娘のことまで思って泣いた。わたしの手はまだあの娘の体を覚えてる。柔らかい毛の感覚も両方の手のひらにすっぽりおさまるまるいお尻の感覚も、全部。 帰って来てくれてよかった。当たり前だけど。 当たり前だけど、当たり前に起こるはずのことがときどき当たり前に起こらないから怖い。 ディディーはうちで MBA を観て、レイカーズのハーフタイムで眠たくなって帰ってった。誰かが来てくれるのはほんとに嬉しい。勝手にテレビ観てひとりでコーフンしてわあわあ騒いでくれてたって嬉しい。ディディーはもう晩ごはんを済ませてたから、わたしはディディーの横で、フィロミーナがこないだ作って来てくれたサーモンのスープをひとりで食べてた。 わたしがデイビッドんちの近くに住んでたら、って思う。デイビッドんちにバルコニーがあって、そこからわたしのアパートに来られるドアがあったらいいと思う。ドアはわたしのキッチンに繋がってて、そしたらわたしは毎日お料理してバルコニーにいい匂いをまき散らしてデイビッドを匂いで誘う。それがいい。 明日デイビッドが帰って来る。 わたしはバイブルのジェネシスを読み終えて、イグゾーダスのところをもう半分まで読んだ。パスオーバーのこともちゃんと学んだ。テストされたって全然平気なくらいちゃんと学んだ。 早く帰って来て欲しい。当たり前に。 -
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