天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

友だち以上 - 2003年07月27日(日)

突然めまいと吐き気に襲われて、普通に座ってることさえ出来なくなる。体を二つ折りにして椅子の上でかがんだ。汗が体中からザーッと噴き出す。一生懸命深呼吸しながらおさまるのを待ったけどダメで、ゴスペルソングがだんだん遠くに聞こえて行った。気がついて隣りで背中をさすってくれてたジョセフが「大丈夫?」って聞いてくれて、「横になりたい」って必死でなんとか答えた。

後ろのミーティングルームにジョセフが連れてってくれて、椅子を3つ並べてくれる。案内係の女の人が冷たいお水を持って来てくれて、顔見知りのナースの女の人と、別に男の人がひとり来た。男の人が脈を取ってくれる。まるでフラッシュの症状みたいで、違うのは血圧がものすごく下がってるのが自分でわかったこと。ハイポーグライセミックだと思った。糖分が欲しいと思ってたら、男の人がどこからかカップにアイスミルクを持ってきて、スプーンで口に入れてくれた。やっぱりハイポーグライセミックだった。急に楽になってきた。男の人はずっとスプーンでアイスミルクを食べさせてくれてた。口の中で溶けたアイスミルクがすうっと血液に溶け込んで行くのが自分でわかるようだった。

ついててくれたジョセフが男の人に「ナースですか」って聞いたら、「昔、医学生でした」ってその人は答えた。テキサスから休暇で家族を訪ねて来てるらしい。なんでドクターになるのをやめたんだろって思ってた。アイスミルクを自分の手で食べさせてくれるドクターなんか、きっとうちの病院にはいない。それに、ものすごく落ち着いてて、余計なことは何も言わない。「脈は正常ですか?」ってわたしが聞いたら「少し遅いけど」ってそれだけ言った。

ドクターだってあとからわかった。すごい気の利いたジョーク。ヒューストンの大学病院はものすごくいい病院で、NY のインターンに受からなかったらテキサスに行こうって思ってた。きっとそこのドクターだって勝手に決めた。

持って来てもらったお砂糖がたくさん入った紅茶を飲んだら気分がよくなった。案内係の女の人とナースと、それからその「昔医学生だった」ドクターにお礼を言った。まだそばにいてくれたジョセフに「あたし、これからビーチに行く約束があるの」って言ったら、何言ってるんだって叱られた。「でも行きたい」って子どもみたいに駄々こねたら、うちに送って行くから、何か食べてしばらく横になって大丈夫だったら行けばいいって言われた。もう大丈夫だからビーチに行くってしつこく言って、何か食べなきゃいけないなら今隣りのダイナーでチキンヌードル・スープが食べたい。そう言ったらつき合ってくれた。

B5 のナースのニーナと、彼女のうちの近くのビーチに行く約束だった。ほんとは昨日行くはずだったけどニーナは生理になっちゃって、「明日なら平気だから明日にしよう」って言ってくれてた。

ジョセフが、ロッカウェイのビーチにみんなを誘おう、きみはその友だちとくればいい、うちで BBQ もしよう、もしまたきみが倒れたりしてもみんながいれば安心だから、ってそう言った。説得されてニーナに電話したら、生理がまだ重たいからちょうどよかった、ひとりで行っておいで、ってニーナは言った。

ジョセフのアパートは、ロッカウェイのビーチの目の前にある。ほんとにすぐ前にビーチが広がってる。わたしはもうすっかり元気になってて、ジョセフの犬のロクシーとお散歩してから泳ぎに行った。陽差しは強すぎないで、水は冷たすぎないで、波は高すぎないで、ほかのみんなが遅れて来るのを待ちながら、ジョセフとふたりで泳いでビーチに寝ころんでいろんな話をした。ジョセフはジーザスを信じるようになるまで、デイビッドと同じジーザスを信じない信仰を持ってた。だから、そのことをたくさん聞いた。わたしのこともたくさん話した。ジョセフは一生懸命聞いてくれて、答えてくれた。一緒にお祈りもしてくれた。

BBQ もとても楽しかった。終わり頃に近所のちいさな女の子たちが「ホットドッグ欲しい」とか「ハンバーガーちょうだい」とか「マシュマロ焼いて」とか言いに来て、わたしはお店やさんになりすましてかわいい女の子たちの注文を聞いては、ホットドッグやハンバーガーやマシュマロを焼いてた。「きみのホストぶりは完ぺきだね」ってジョセフが誉めてくれた。

ジョセフは、8月にひとりでキャンプに行く予定だけど、きみに休暇が取れるなら一緒に行かないかって言った。8月の3週目にわたしはまた休暇を取る。でも行けるわけない。行きたいわけない。


夜にはロシア系さんとサウス・シー・ポートでやってるピアのタンゴパーティに行く約束だった。約束の時間より2時間もずらしてもらって、ロシア系さんがうちまで迎えに来てくれた。着いたのは11時過ぎだった。途中で大雨が降り出したけど、雨さえ気持ちよくてびしょびしょになりながら踊った。1時までの予定が大雨のせいで12時過ぎには終わった。1時間しか踊れなかったけど、屋外で、いつもと違うところでいつもと違う人たちの中でタンゴを踊るのはものすごく素敵だった。雨も素敵だった。とても素敵に踊れたような気がする。

うちまで送ってくれたロシア系さんは、うちの前でわたしの腕を取った。上手くかわしてありがとうと気をつけてとおやすみなさいを言って、慌てて車から降りた。


本当に友だちでいたい人は、わたしに友だち以上を求めてくる。
友だち以上をわたしが求めたい人は、いつもわたしと友だちでいたがる・・・。



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