天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

Who am I in your life? - 2003年07月21日(月)

どっかに出掛けなくちゃ。そう思って、前のアパートの近くのビーチのある公園に行く。
カダーが好きな公園。このあいだもひとりで行って来たって言ってた。あのカダーがひとりでぼうっとしたいときに行きたくなるっていう場所。一度だけ、カダーのルームメイトがわたしを連れてってくれた。

もう日が沈みかけてて、風が強かった。潮の匂いの風に吹かれてベンチに座ってたばこを吸う。風で火がなかなかつかなかった。小さな子どもたちが浅瀬で水遊びをしてる。遠くに、あの街のヨットハーバーみたいに、ヨットが何隻も何隻もゆらゆら浮かんで揺れている。

寒くなってきたから、車に戻って海に突き出した埠頭の駐車場に車を移して、車の中で日が沈み切るまで海とヨットと入り江の向こうのどこだかわかんない街を眺めてた。


お手洗いに行きたくなった。
公園のお手洗いは鍵がかかって入れなかった。
カダーに電話した。「どこにいるの?」。そう聞いたら、一緒に仕事をしてる友だちの名前を言って、そこんちにいるって言った。「なんで?」「今あなたんちの近くにいるの。お手洗い借してもらおうと思って電話したの」「レストランかどっかで借りなよ」「やだよ、お手洗い借りにレストラン行くの。マジェッドはうちにいるかなあ?」「さあ。電話してみな」「うん。いたらお手洗い借りに行くよ。いなかったらどっか探す」「僕に会いたい?」「お手洗い行きたい」「あとで電話するから、早くトイレ済ませてきな」。

マジェッドはいなくて、しょうがないからドーナッツ・ショップでお手洗い借りた。それからドーナッツひとつとベーグルひとつとマフィンふたつ買う。買うつもりはなかったけど、お手洗いだけ借りて出てくには人が少なすぎたから。うちに帰る高速の途中で、電話が鳴った。

「会う?」って言うから、「うちじゃなくて外がいい」って言った。「なんでだよ」って言う。「だってセックスだけしたがるんだもん」「だけじゃないよ」「だけじゃん。そういうのやだって言ったでしょ?」「じゃあ飲みに行く?」「・・・。いいよ」。


カダーがうちにピックアップしに来てくれて、近くのラウンジに行った。
先週の水曜日だっけ。ディディーが Kasaav がたくさん入ったクリオール語の CD をコピーして、うちの前まで持って来てくれた。おなか空いたって言うディディーと一緒に行ったそのラウンジは、グリークの音楽がとても素敵だったのに、今日はグリークがかかってなかった。「水曜日だけがグリーク・デーなんじゃないの?」ってカダーは言った。

マンゴのモヒトーを全部飲み切らないうちに酔った。
氷が溶けて、いくら飲んでも大きなグラスに入ったモヒトーの量は減らないで、「手伝ってよ」ってカダーに言う。「こんな水でまさか酔ったって言うんじゃないだろ?」ってカダーは笑う。

帰り道、あの場所を通ってもらう。あの頃カダーに見せたかった。1年経ってやっと見せてあげられた。「綺麗でしょ?」「綺麗だね」。あの頃聞きたかった言葉。

飲んでるときにクーラーの話をしたら、つけてくれるってカダーは言った。このあいだマジェッドの部屋につけてあげて、簡単につけられたからって。新しいクーラー用のケーブルを先週大家さんが引いてくれた。あとはクーラーを窓につけるだけ。でも窓とクーラーのギャップを塞ぐエクステンションが要る。


車を停めて、カダーがクーラー見てあげるって言う。口実ってわかってた。
カダーはわたしのからだを抱きかかえて、わたしはカダーのからだにしがみついて、車を停めた場所からうちまで歩く。もう少しで着くところで携帯が鳴った。デイビッドってわかってて、カダーはわざとわたしのからだを抱き寄せた。

「一番やっかいな仕事がやっと片付いたから、寝る前にきみに電話しようと思って」「よかった。片付いて」「うん。明日から普通にいつものペースで仕事が出来るよ」「会える?」「うん、木曜日」。それまで会えないんだ。「木曜日?」「そう。木曜日には会わなきゃ。お互い大嫌い同士だから」。そう言ったと思う。「意味わかんない」「僕はわかるよ」。

話しながら玄関の鍵を開けたらデイジーが吼えて、大家さんの奥さんのシャーミンが階段の上から覗いた。と思う。デイビッドはほかにもなんだかよくわかんないこと言ってて、でも酔ってたのとカダーがいたのとデイジーが吼えてたのとシャーミンの気配が気になったのとアパートの鍵を開けるのに忙しかったのとで、ちゃんとおしゃべり出来なかった。「おやすみ」って切って、少しほっとした。


わたしは淋しかった。淋しいのを隠してたけど、淋しいまんまだった。
「Who am I...?」って聞いたらカダーはわたしの名前を言った。笑った。
「Who am I in your life?」。もう一度そう聞き直したら、「そんな難しい質問に答えられない」ってカダーは言った。昔、一番最初のガールフレンドが同じことを聞いて、カダーの答えに機嫌を悪くしたって。「ガールフレンドだったんでしょ? そう答えたんでしょ?」「彼女はそれ以上の答えが欲しかったんだ」。

女の子はいつも「今」に満足できない。女は先のことを知りたいから。考えたいから。男は今日言った約束を明日には忘れるけど。ずっと前にジェニーが言ってたみたいに。


Who am I in your life?
カダーの答えを聞きたかったわけじゃない。
デイビッドに聞きたかった言葉。
でも、答えを探しちゃいけないから聞かない。多分、聞かない。多分。

「デイビッドはきみの right person じゃないと思うよ」ってカダーは言った。
「生きてるってシンドイね」って言ったら、「しんどくないよ。きみがしんどくしてるだけだ」ってカダーは言った。


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